形成外科

ご挨拶

形成外科が対応する疾患は、外傷・熱傷、先天奇形、皮膚軟部組織の悪性・良性腫瘍、組織欠損部の再建、美容医療など多岐に渡ります。当センターの形成外科では、がん拠点病院という特性上、悪性腫瘍の切除手術で生じた皮膚や組織の欠損に対して、患者さんの体の他の部位からの組織や人工物を用いて復元する「再建外科手術」が主な診療内容となります。このため、常に様々な外科系診療科と連携しながら手術計画を綿密に協議し、再建方法を決定しますが、機能面はもちろんのこと整容面にもできる限りの配慮を行いながらに治療にあたっています。

特徴・特色

具体的な再建の内容としては、頭頸部がん切除後の頭頸部再建、乳がん切除後の乳房欠損に対する乳房再建、四肢体幹の腫瘍切除後の組織欠損に対する再建等があり、遊離組織移植術を用いた再建が多いことが当科の特徴です。遊離組織移植術とは、組織欠損部とは別の部位から血管を付けた組織を採取し、組織欠損部位の血管と血管を顕微鏡下に吻合して組織を移植する手術のことです。この手技により必要な組織を、必要な量だけ、必要な場所に移植することが出来るため、機能面及び整容面でより良い再建が可能となります。

また、術後の二次性リンパ浮腫に対するリンパ管静脈吻合術や、顔面神経麻痺に対する静的再建術等、悪性腫瘍術後後遺症の治療や、手術後の瘢痕やケロイドの治療も行っています。

当科を受診される方へ

月曜日の午前、水曜日と金曜日の午後に外来を開設しております。詳しい診察時間や外来担当医につきましては診療カレンダーをご確認ください。
施設の特性上、他の病院の形成外科を紹介させていただくこともあるかもしれませんが、がんに関わらない形成外科の治療に関しましても、遠慮なくご相談ください。

また、2020年4月より、がん患者さんを対象とした「美容外来」を開設しております。
主に、シミ・シワ・色素沈着に対する塗り薬（トレチノイン／ハイドロキノン）治療とレーザー治療中心に、がんの治療状況を考慮した診療を行っています。
院外から受診をご希望される方は、まずはかかりつけの先生とご相談の上、当センター地域連携室を通じて診療予約をお取り頂き、紹介状（診療情報提供書）をご持参ください。
※「美容外来」を受診される方へ
当センターでの美容外来にかかる診察代や治療費、お薬代等については、全て自己負担（保険適用外）となります。

主な疾患

頭頸部再建では、口腔がん（舌がん、頬粘膜がん等）や下咽頭がんの切除後に対して、前腕や大腿、腹部などからの遊離皮弁移植術を行っています。 乳房再建は、遊離皮弁を含む自家組織（DIEP皮弁、腹直筋皮弁、広背筋皮弁など）による再建法と、シリコンインプラントを用いた人工物による再建法の２種類の方法があり、いずれの方法にも対応しています。

また、同時（一次）再建を行う場合は乳腺外科と詳細な打ち合わせを行い、癌の制御とQOL（生活の質）のバランスを考慮しながら手術方法をご提案しています。 手術後の瘢痕やSSI（手術部位感染）の治療も積極的に行っています。

特に手術後のケロイドに関しては、放射線腫瘍科と連携し、必要に応じて電子線照射を併用することもあります。