リハビリテーション科
ご挨拶
がんのリハビリテーションはがん治療における重要な役割を担っています。がん治療の様々な過程で機能障害が引き起こされ、それらの障害によりADL(日常生活動作)・QOL(生活の質)の低下が生じています。2016年12月に「がん対策基本法」が改正され、がん患者さんの療養生活の質の維持のために良質なリハビリテーションを提供することが求められています。がん自体に対する治療(手術、化学療法、放射線治療)のみではなく、がんの診断がついた時点から、治療が終わった後の緩和期まで、さらには、社会的な側面まで幅広くサポートできるがんリハビリテーションの取り組みが重要となっています。当科では、日々の治療はもちろん、がんのリハビリテーションを普及/発展させるために日々邁進しております。
特徴・特色
がんの治療、また進行の過程において生じた食事、身の回り動作、歩行等の日常生活動作の障害は、QOL(生活の質)を低下させてしまいます。当診療科では、低下した機能の回復を援助する事はもちろん、一部では治療前/手術前よりリハビリ介入を実施し、早期退院/社会復帰を援助しております。 また、医師/看護師をはじめ、院内の他科との連携、地域における医療/福祉・介護サービスとも連携、情報交換を行い、多職種からなる包括的チームアプローチを行っております。
当科を受診される方へ
当科は原則として入院患者さんを対象にリハビリテーションを行なっています。外来でのリハビリを希望される場合は、ご自宅近隣の医療施設などに治療を依頼することもできますので、主治医にご相談ください。
主な疾患
- 骨軟部腫瘍による四肢機能制限(荷重免荷、筋力低下、関節拘縮)や日常動作制限
- 頭頸部がん(舌、頬、咽頭等)術後、放射線治療後、化学療法後の摂食障害、構音障害、肩障害 脊髄腫瘍による四肢麻痺、対麻痺 脳腫瘍による片麻痺、高次脳機能障害、摂食障害など 婦人がん術後における、下肢機能低下や歩行障害
- 呼吸器、消化器系がんの開胸/開腹手術前後の合併症予防と早期離床支援、摂食機能障害 造血器のがん(白血病など)による、廃用症候群(筋力低下、関節拘縮、心肺機能低下等)
- 乳がん術後の肩機能障害や日常動作制限 緩和ケア病棟による廃用症候群
- その他のがん治療(抗がん剤治療、放射線治療等)の過程で生じた廃用症候群
ドクターインタビュー(ページリンク)
疾患・症状紹介
ふじた いくお
藤田 郁夫
役職 | 診療部長 兼 リハビリテーション部長 整形外科部長(科長) |
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資格 | 日本整形外科学会認定 整形外科専門医・骨軟部腫瘍医・脊椎脊髄病医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 中部日本整形外科災害外科学会 評議員 |
卒業年度 | 1991年 |
休診・代診のお知らせ
急な都合による休診情報は掲載できない場合がありますので、ご了承ください。
トピックス
理学療法
がんそのものによる障害や、手術その他の治療の過程で生じた障害に対して関節可動域訓練、筋力訓練、持久力訓練、歩行などの日常動作訓練を実施し、機能や能力の維持・改善を図ります。
さらに、一部手術前よりリハビリ介入する事で術後の合併症予防を図り、早期回復をめざす予防的リハビリテーションや、緩和ケア病床における在宅生活支援や運動、物理療法(温熱療法、電気治療)等を用いた緩和的リハビリテーションも行っております。
がん治療を行っていく為には、筋力/体力を維持・向上させる事は非常に重要なことです。現在日常生活に支障がなくても、治療前・治療中に持久カトレーニングや筋力訓練等を行い、筋力/体力の維持・向上を図っています。
作業療法
作業療法では、がんそのものによる障害や手術など治療の過程で生じた障害に対して、作業活動を通して、可動域練習、筋力訓練、巧緻動作練習、更衣・食事などの日常生活動作練習を行い、機能や能力の維持・改善を図ります。必要に応じて、日常生活の不便を代償するための自助具の検討や日常生活動作などの安全で効率的な方法の検討・練習、家屋構造に対する改修助言等を行います。さらに、理学療法と同様、予防的リハビリテーションや緩和的リハビリテーションも行っております。また、現在日常生活に支障がなくても、心身の緊張緩和や気分転換目的に、手工芸やレクリエーション活動等を行うことがあります。
言語聴覚療法
コミュニケーションの障害や食べる機能の障害に対して評価や訓練、指導を行っています。上記の障害の原因はさまざまですが、当センターで言語聴覚士が関わる疾患の多くの原因はがん疾患そのものや、治療中の二次的障害によるものです。対応として失語症や構音障害、音声障害などのコミュニケーションの障害に対しては、言語機能や発声発語器官の運動機能の改善を図り、コミュニケーション能力の向上を目指します。食べる機能の障害(摂食・嚥下障害)に対しては、必要に応じて嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査で評価を行いながら訓練を実施しするとともに、摂食嚥下障害認定看護師、病棟・外来看護師、管理栄養士などチームでの連携も随時行いながら摂食嚥下機能、能力の向上に取り組んでいます。