血液内科

血液内科

ご挨拶

兵庫県立がんセンター血液内科は、白血病や悪性リンパ腫など造血器悪性腫瘍の治療施設として1987年に設立されました。積極的に治療を行い、治癒を目指せる症例を対象に、抗がん化学療法、放射線療法、造血細胞移植などの治療法を用いて、造血器悪性腫瘍の治癒を目指しております。

特徴・特色

がんセンターの血液内科として、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などの血液悪性腫瘍の診断・治療を行っています。必要に応じて造血幹細胞移植を行っております。

当科を受診される方へ

血液内科は正確な情報を提供しインフォームドコンセントを得た上で治療を進めることを基本方針としています。治療前には、診断名、治療法、予想される効果および副作用・合併症、他の治療法、予後などについて主治医が説明いたしますので、ご家族の方々とともによく聞いていただき、御理解をしていただいた上で、治療をご決定いただきますようお願いいたします。また、セカンドオピニオンとして他施設の専門医との意見交換も積極的に行っています。もし他院でのセカンドオピニオンの希望がありましたら御遠慮なくおっしゃっていただきますようお願いいたします。ただし電話等でのお問い合わせにはお答えできませんので、外来受診の方でしたら外来予約を、入院中の方でしたら病状説明の時間の予約を取っていただきますようお願いいたします。受診歴のない方につきましては主治医の先生からの紹介状・臨床データを持って受診してください。

主な疾患

  • 悪性リンパ腫
  • 急性骨髄性白血病
  • 急性リンパ性白血病
  • 慢性骨髄性白血病
  • 慢性リンパ性白血病
  • 骨髄異形成症候群
  • 骨髄増殖性腫瘍
  • 多発性骨髄腫など

むらやま とおる

村山 徹

      
役職

検査部長

血液内科部長(診療科長)

血液・輸血検査室長

資格

日本内科学会 指導医・認定内科医・専門医 (FJSIM)

日本血液学会 指導医・専門医・評議員

日本輸血・細胞治療学会 認定医・I&A視察員・細胞治療認定管理師・近畿支部評議員

日本造血細胞移植学会 認定医・評議員

日本臨床腫瘍学会 指導医・がん薬物療法専門医

Fellow of American College of Physician(FACP)

近畿血液学会 評議員

日本がん治療認定機構 がん治療認定医

兵庫さい帯血バンク監事

卒業年度 1989年

みずの いしかず

水野 石一

      
役職

医療安全部長

血液内科部長

資格

日本内科学会 指導医・認定内科医・専門医 (FJSIM)

日本血液学会 専門医

日本輸血・細胞治療学会 認定医

卒業年度 1992年

まえだ あきお

前田 彰男

      
役職

血液内科部長

卒業年度 1994年

ごみょう ひろし

五明 広志

      
役職

血液内科部長

資格

日本内科学会 指導医・認定内科医・専門医 (FJSIM)

日本血液学会 指導医・専門医

日本輸血・細胞治療学会 認定医・細胞治療認定管理師

日本造血細胞移植学会 認定医

卒業年度 1996年

かわぐち こうじ

川口 晃司

      
役職

血液内科医長

資格

日本血液学会 専門医

卒業年度 2015

外来診療表

 
血液内科 1診 前田(彰) 川口 担当医 水野 五明
2診 水野(A)
五明(A) 村山
(移植外来)
前田(彰)(A)
川口(A)

(A) は再診患者の予約診療のみの診察枠です。

休診・代診のお知らせ

急な都合による休診情報は掲載できない場合がありますので、ご了承ください。

診療実績他

入院疾患内訳

外来初診疾患内訳

当科造血幹細胞移植内訳

標準治療・治療成績について

悪性リンパ腫

リンパ節腫大を主訴として当科にご紹介をいただくことが多いですが、全てが悪性リンパ腫とは限りません。伝染性単核球症などのウイルス感染症やリンパ節炎、他の腫瘍のリンパ節転移なども考えられます。
また悪性リンパ腫の中でもいくつもの種類があり、治療法が違う場合があります。そのため治療前には、組織にて悪性リンパ腫であるかどうか、悪性リンパ腫な らどのような種類かを確認してから治療を開始しております。その際には免疫染色を含む病理学的検査に加え、表面マーカー検査、染色体検査なども可能な限り施行し、総合的に診断しております。また病期の診断については、CTに加えFDG‐PET‐CT、MRI、骨髄生検等を必要に応じて加えながら診断しております。治療については、ホジキンリンパ腫であればABVD療法(ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)と放射線治療を中心に行っております。最近では抗CD30抗体であるブレンキシマブ・ベドチンが初回治療から使用可能となったため、A-AVD療法(ブレンキシマブ・ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)も行っております。非ホジキンリンパ腫のうち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫などの中等度悪性度群のものの多くはCHOP療法(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)およびその類似の治療法にて治療を開始いたします。CD20陽性の場合はリツキシマブを併用(R-CHOP療法)いたします。濾胞性リンパ腫など低悪性度群のリンパ腫は標準療法がないため、病期や全身状態などを考慮した上で、放射線治療、リツキサン単剤療法、R-ベンダムスチン療法、R-CHOP療法などを行っております。濾胞性リンパ腫には新しい抗CD20抗体であるオビヌツズマブをリツキシマブの代わりに使用することが多くなっています。バーキットリンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫、成人T細胞性白血病リンパ腫といった高悪性度群のリンパ腫には白血病治療に準じた治療を行っており、慢性リンパ性白血病や菌状息肉腫など特殊なリンパ腫にはそれぞれに合った治療法より開始するようにしております。当科はJapan Clinical Oncology Group (JCOG)に参加しておりますので、可能な限りJCOGの臨床試験に参加していただいております。

白血病・骨髄異形成症候群

急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、高リスク骨髄異形成症候群(MDS)の治療については、当科はJapan Adult Leukemia Study Group (JALSG)に参加しておりますので、可能な限りJALSGの臨床試験に参加していただいております。参加されない場合も、JALSGのプロトコールに準じて治療を行います。AMLについては寛解導入療法を1~2コース行い、寛解に入ったら地固め療法を3~4コース行います。予後良好と判断されれば化学療法のみで治療を終了し、予後不良の可能性が高ければ地固め療法中または後の造血細胞移植を考慮します。ALLについてはAML同様に寛解導入療法、地固め療法を行いますが、成人のALLは予後が悪いことが多いため、可能な限り造血細胞移植を考慮します。フィラデルフィア染色体陽性の症例にはダサチニブやイマチニブ、ポナチニブを併用いたします。再発・難治例ではイノツズマブ・オゾガマイシンやブリナツモマブを使用して寛解に導入し移植に繋げていくようにしております。高リスクMDSはアザシチジンやAMLに準じて治療を行いますが、やはり予後不良が予想されるため可能な限り造血細胞移植を考慮します。低リスクMDSにはサイトカイン療法や輸血などの対症療法を行いますが、輸血の回数が増えてきた場合にはアザシチジン療法を行います。

多発性骨髄腫とその類縁疾患

M蛋白と言われる異常たんぱくの出現で発見されることの多いリンパ系腫瘍ですが、治療の対象となるのは病的骨折、貧血などの症状を示す症候性骨髄腫です。造血幹細胞移植のできる症例は自家末梢血幹細胞移植を含み、ボルテゾミブ、レナリドミドなどの新規薬剤を含んだ初回治療を行います。可能な限りJapan Study Group for Cell Therapy and Transplantation (JSCT) などの臨床試験に参加していただいております。造血幹細胞移植のできない症例につきましては、抗CD38抗体であるダラツズマブ、レナリドミド、ボルテゾミブ、メルファラン、デキサメタゾン、プレドニゾロンを組み合わせた初回治療を行います。再発・難治の骨髄腫に対してはカルフィルゾミブ、イキザゾミブ、ポマリドミド、エロツズマブ、イサツキシマブなどを含んだ治療を行います。

現在実施中の臨床研究・臨床試験

  1. 日本臨床腫瘍研究グループ (Japan Clinical Oncology Group, JCOG)

    JCOG1411

    未治療低腫瘍量進行期濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブ療法早期介入に関するランダム化比較第Ⅲ相試験

    JCOG1911

    高齢者または移植拒否若年者の未治療多発性骨髄腫患者に対するダラツムマブ+メルファラン+プレドニゾロン+ボルテゾミブ(D-MPB)導入療法後のダラツムマブ単独療法とダラツムマブ+ボルテゾミブ併用維持療法のランダム化第Ⅲ相試験

    JCOGバイオバンク

    JCOGバイオバンクプロジェクト

  2. 成人白血病治療共同研究グループ(Japan Adult Leukemia Study Group, JALSG)

    JALSG CS17

    JALSG参加施設において新規に発症した全AML、全MDS、全CMML症例に対して施行された治療方法と患者側因子が5年生存率に及ぼす影響を検討する観察研究(前向き臨床観察研究)
    詳しくはこちら
    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    JALSG CS17-Molecular

    JALSG CS17 付随研究
    急性骨髄性白血病を対象としたクリニカルシーケンスの実行可能性に関する研究

    JALSG-CML-RE-STOP219

    慢性期慢性骨髄性白血病患者に対するポナチニブ維持療法後のチロシンキナーゼ阻害薬中断試験

    JALSG-APL219R

    再発急性前骨髄球性白血病(APL)に対する Tamibarotene(Am80)と亜ヒ酸(ATO)の併用、寛解後療法として
    Gemtuzumab Ozogamicin(GO)を用いた治療レジメンの有効性および安全性検証試験―第II相臨床試験―

    JALSG-GML219

    高齢者急性骨髄性白血病(AML)の層別化により化学療法が可能な症例に対して若年成人標準化学療法の近似用量を用いる第II相臨床試験

    JALSG-PhALL219

    初発BCR-ABL1陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)を対象としたダサチニブ、ポナチニブ併用化学療法および造血幹細胞移植の臨床第II相試験

    JALSG-APL220

    本邦の初発APLに対するATRA+ATO療法の多施設共同第Ⅱ相試験
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    JALSG-CBF-AML220

    T(8;21)およびinv(16)陽性AYA・若年急性骨髄性白血病に対する微小残存病変を指標とするゲムツズマブ・オゾガマイシン治療介入の有効性と安全性に関する臨床第Ⅲ相試験

    JALSG-RR-FLT3-AML220

    再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者を対象とするMEC(ミトキサントロン/エトポシド/シタラビン)とギルテリチニブの逐次療法の非盲検、多施設共同、前向き介入試験

    JALSG-Ph+ALL TKI-SCT

    TKIが使用されたJALSG Ph+ALL臨床試験とTRUMPデータの統合による予後因子解析
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    JALSG Ph(-)B-ALL213-CS

    成人フィラデルフィア染色体陰性precursor B細胞性急性リンパ性白血病に対する多剤併用化学療法による第Ⅱ相臨床試験(JALSG Ph(-)B-ALL213)登録症例を対象とした観察研究
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    JALSG ALL-CS-12

    研究参加施設に新たに発生する全ての成人ALL症例を対象とした5年生存率に関する前向き臨床観察研究
    詳しくはこちら
    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    JALSG T-ALL213-O-CS

    成人precursor T細胞性急性リンパ性白血病に対する多剤併用化学療法による第Ⅱ相臨床試験(JALSG T-ALL213-O)登録症例を対象とした観察研究
    詳しくはこちら
    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    JALSG CS-07/11-tAPL study

    前方視的観察研究に登録された治療関連急性前骨髄球性白血病における長期予後と治療実態調査
    詳しくはこちら
    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    ALSG Ph+ALL-GWS

    JALSG ALL202およびPh+ALL208研究で収集されたPh+ALL試料を対象としたゲノム解析研究
    詳しくはこちら
    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

  3. JSCT研究会 (Japan Study Group for Cell Therapy and Transplantation, JSCT)

    日本血液学会

    JSCT MM20

    未治療多発性骨髄腫に対するダラツムマブ、レナリドミドおよびデキサメサゾン療法に治療奏効で層別化する地固め療法を用いた自家末梢血幹細胞移植の有効性と安全性を確認する第Ⅱ相臨床試験

    JSCT EMM21

    未治療の高齢多発性骨髄腫に対する新規薬剤と自家移植を組み合わせたシークエンス治療を固定期間で行う有効性・安全性を検証する多施設共同第II相試験

  4. 日本血液学会

    疫学調査「血液疾患登録」

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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    日本における骨髄腫関連疾患の予後に関する大規模多施設前向き観察研究(JSH-MM-15)
    詳しくはこちら
    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

  5. 日本造血細胞移植学会

    造血細胞移植医療の全国調査

    HLA1座不適合非血縁者間骨髄移植における従来型GVHD予防法と抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン併用GVHD予防法の無作為割付比較試験

  6. その他

    骨髄不全患者を対象としたHLAクラスⅠアレル欠失血球の検出

    高齢者古典的ホジキンリンパ腫の臨床病理学的特徴と治療に関する他施設共同後方視的観察研究 HORIZON study
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    HBV既往感染症を有する同種造血幹細胞移植レシビエントに対する、HBワクチンによるHBV再活性化予防法のランダム化検証的試験(PREVENT HBV)

    非重症再生不良性貧血に対するシクロスポリン療法の有用性に関する検討
    (西日本血液臨床研究グループ, West Japan Hematology Study Group(W-JHS), W-JHS AA01)

    再生不良性貧血におけるウサギATG+シクロスポリン+エルトロンボパグ療法の有用性に関する検討(W-JHS AA02)

    移植非適応初発多発性骨髄腫患者に対するレナリドミドーデキサメタゾン(Rd)療法に効果不十分の症例に対すボルテゾミブを追加するレスポンスガイドセラピーの有用性と完全性(W-JHS MM01)

    移植適応多発性骨髄腫患者における初回採取レジメンによる自家末梢血幹細胞採取不良例の多施設共同後方視的研究
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    多発性骨髄腫に対するImmuno-Flow FISH検査の有用性に関する探索的研究
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    未治療CD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における新治療導入後の診療実態と予後に関する国内多機関共同観察研究
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    造血器疾患の分子病態の解明ならびに有効かつ安全性の高い治療法開発を目指した基盤研究
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    HBs抗原陽性およびHBV既往感染のT細胞リンパ腫に対するモガムリズマブ治療後のB型肝炎ウイルス再活性化に関する多機関共同後方視的観察研究
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    新世代治療導入後の未治療NK/T細胞リンパ腫における治療実態とその推移および予後に関する国内多機関共同調査研究
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    同種造血細胞移植後B型肝炎ウイルス再活性化例の後方視的解析 多機関共同後方視的観察研究
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

    治療関連急性骨髄性白血病において原発悪性腫瘍に対する治療が同種移植成績に及ぼす影響の検討
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    なお、個別データの提供をご承諾いただけない場合は辞退することが可能ですので、主治医もしくは責任医師までご連絡ください。

2023年10月

トピックス

悪性リンパ腫(診断)

リンパ節の腫れを主訴として当科にご紹介をいただくことが多いですが、全てが悪性リンパ腫とは限りません。伝染性単核球症などのウイルス感染症やリンパ節炎、他の腫瘍のリンパ節転移なども考えられます。

また悪性リンパ腫の中でもいくつもの種類があり、治療法が違う場合があります。そのため治療前には、組織にて悪性リンパ腫であるかどうか、悪性リンパ腫な らどのような種類かを確認してから治療を開始しております。その際には免疫染色を含む病理学的検査に加え、表面マーカー検査、染色体検査なども可能な限り施行し、総合的に診断しております。また病期の診断については、CTに加えFDG‐PET‐CT、MRI、骨髄生検等を必要に応じて加えながら診断しております。

悪性リンパ腫(治療)

ホジキンリンパ腫であればABVD療法と放射線治療を中心に行っております。ブレンキシマブ・ベドチンを併用した、A-AVD療法も行っております。非ホジキンリンパ腫のうち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫などの中等度悪性度群のものはCHOP療法など治療を行います。CD20陽性の場合はリツキシマブ(R)を併用(R-CHOP療法)いたします。最近はポラツズマブ・ベドチンを併用したPola-R-CHP療法も行っています。濾胞性リンパ腫(FL)など低悪性度群のリンパ腫は標準療法がないため、病期や全身状態などを考慮した上で、最適な治療を行っております。バーキットリンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫、成人T細胞性リンパ腫といった高悪性度群のリンパ腫には白血病治療に準じた治療を行っており、慢性リンパ性白血病や菌状息肉腫など特殊なリンパ腫にはそれぞれに合った治療法を行っております。当科はJapan Clinical Oncology Group (JCOG)に参加しておりますので、可能な限りJCOGの臨床試験に参加していただいております。

急性白血病・慢性骨髄性白血病

急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)の治療については、当科はJapan Adult Leukemia Study Group (JALSG)に参加しておりますので、可能な限りJALSGの臨床試験に参加していただいております。参加されない場合はガイドラインに沿った治療を行います。AML/ALLについては寛解導入療法を行い、寛解に入ったら地固め療法を3~4コース行います。予後不良の可能性が高ければ地固め療法中または後の造血幹細胞移植を考慮します。フィラデルフィア染色体陽性の症例にはダサチニブやイマチニブ、ポナチニブを併用いたします。再発・難治例では未使用の分子標的薬などを使用して寛解に導入し移植に繋げていくようにしております。CMLの慢性期にはニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブなどで治療を開始し、症例によっては数年後の薬剤中止を目指します。

骨髄異形成症候群

高リスク骨髄異形成症候群(MDS)の治療についても、可能な限りJALSGの臨床試験に参加していただいております。参加されない場合はアザシチジンやAMLに準じて治療を行いますが、やはり予後不良が予想されるため可能な限り造血幹細胞移植を考慮します。低リスクMDSにはサイトカイン療法や輸血などの対症療法を行いますが、輸血の回数が増えてきた場合にはアザシチジン療法を行います。

多発性骨髄腫とその類縁疾患

M蛋白と言われる異常たんぱくの出現で発見されることの多いリンパ系腫瘍ですが、治療の対象となるのは病的骨折、貧血などの症状を示す症候性骨髄腫です。造血幹細胞移植のできる症例は自家末梢血幹細胞移植を含み、ボルテゾミブ、レナリドミドなどの新規薬剤を含んだ初回治療を行います。可能な限りJapan Study Group for Cell Therapy and Transplantation (JSCT) などの臨床試験に参加していただいております。造血幹細胞移植のできない症例につきましては、抗CD38抗体であるダラツズマブ、レナリドミド、ボルテゾミブ、メルファラン、デキサメタゾン、プレドニゾロンを組み合わせた初回治療を行います。再発・難治の骨髄腫に対してはカルフィルゾミブ、イキザゾミブ、ポマリドミド、エロツズマブ、イサツキシマブなどを含んだ治療を行います。

紹介元の先生へ

血液悪性疾患は進行が他の悪性疾患に比べ速い上に、症状が特異的でなく、ご紹介いただくタイミングなどで迷われることもあるかと思います。その際は当院地域医療連携部にFAX等でご相談いただけましたら、できうる限り早期に対応させていただきます。特にすぐ入院が必要な患者さんをご紹介の際は、必ず事前に御電話いただきますようよろしくお願いいたします。現在30床前後の病床を持って対応しておりますが、満床であることが多く、ベッドの調整に少し時間のかかることもありますことをご了解ください。初診外来の受付けは月~金曜日の午前中です。緊急の患者さん以外は初診外来に予約を取って受診をお願いいたします。またセカンドオピニオン外来を受診の際は、患者さんに予約を取っていただくとともに事前に臨床データを郵送かファックスでいただけましたら、十分な下準備の上でお話ができるかと思いますのでよろしくお願いいたします。