外科治療(手術)

兵庫県立がんセンターでの手術治療について

各種がんに対応した、専門性の高い低侵襲外科治療を行っています。

兵庫県立がんセンターでは様々な臓器がんの手術治療に取り組み、多数の実績があります。なかでも、内視鏡を用いて小さな傷で手術を行うことにより、身体への負担をより少なくする「低侵襲治療」にも積極的に取り組んでいます。
低侵襲手術が困難な進行がんに対しても、ご希望や全身状態を慎重に判断した上で、複数臓器や血管の合併切除・再建を行う拡大手術や、放射線治療・抗がん剤治療を組み合わせた手術療法で、積極的に手術を行なっています。

手術を受けられる方へ

治療は外来診察からスタートしています。

術前検査について

治療効果の高い手術を行なうためには、がんが身体の中でどのように拡がっているのかを正確に診断する必要があります。ご紹介いただく先生からの情報に加えて、必要に応じて追加検査を行ない、がんを治癒させるために切除する範囲を正確に検討いたします。診断には、内視鏡、コンピュータ断層撮影(CT)、核磁気共鳴CT(MRI)、超音波検査などのほか、PET(ポジトロンCT)などの最新鋭機材を使用します。
安全に手術を行なうために、がん以外の身体の状態を把握しておくことも大切です。特に、心臓や肺の病気、動脈硬化、糖尿病、肥満などは手術中や手術後に重大な合併症を引き起こす原因になります。手術前の診察や血液検査などで皆様の身体の状態を確認し、合併症を起こすことなく退院していただけるよう、必要な加療を行ないます。

現在内服中のお薬について

皆様が服用されておられる薬の中には、手術をする場合には好ましくないものが含まれることがあります。
特に、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの治療に用いられる「血液の流れをよくするお薬(抗血小板薬や抗凝固薬)」は、手術中の出血を多くしたり手術後に再出血を起こすことがあるので、手術前の病状と手術内容によって手術に先駆けて一時的に服用を控えていただかなければならない場合があります。
外来受診時には「おくすり手帳」や内服薬そのものをご持参いただき、服用を続けるかどうかの説明を受けて下さい。

入院後のスケジュール

兵庫県立がんセンターを受診していただいた患者さんが安心して治療が受けられるように、医師・看護師・検査技師・放射線技師・コメディカルの一人ひとりが決め細やかな対応に心がけています。手術を受けられる患者さんには、手術に向けての準備を病棟と連携をとりながら準備を進めていきます。

入院から手術前日まで

入院から手術を受けられるまでの期間は、通常の場合、2~3日程度です。皆様が安心して手術を受けられるよう、細心の注意をはらいながら以下のような手順で準備をすすめていきます。

入院後は、

  • 手術のために事前に準備していただく物品。
  • 入院予定期間と入院中の過ごし方。
  • 各種社会資源(公的補助)の活用方法と準備

などについてパンフレットを用いて説明いたします。

さらに、各種検査結果をふまえた予定手術方法や麻酔内容について主治医から説明があります。説明時には、担当看護師も同席します。
手術室看護師や集中治療担当看護師からも手術室や集中治療室の様子について説明します。
麻酔科医が麻酔を担当する手術では、担当麻酔科医師からも麻酔の説明を行ないます。

手術当日

食事

絶食が必要な症状がなければ、ほとんどの方が手術前日まで普段通りの食事をしていただけます。ただし、一部の手術では腸をきれいにするために手術前から食事制限をおこなうことがあります。このような場合でも、飲み物を飲んでいただくことはできます。手術当日も、手術の2時間前までに糖分や塩分を含む飲料(術前補水食)を飲用していただいています。足りない場合は、他の水分を取っていただいて構いません。

手術室への入退室

歩行できる方は、ご自身で歩いて手術室に入室していただきます。麻酔がかかったことを確認して、手術を実施します。手術終了後、局所麻酔で行われる小手術であれば、歩行で退室していただけます。
一般的な手術では、搬送用ベッドで手術室から退室し、集中治療室または病室に移動します。一部の大手術を除き、全身麻酔の場合でも手術直後から意識がある状態で過ごしていただけます。

麻酔について

手術室入室後、麻酔を行ないます。浅い場所で小さい病変の切除は局所麻酔のみで実施されますが、多くのがん手術では、十分な切除をするために全身麻酔を行う必要があります。手術後の痛みを和らげるために、硬膜外麻酔や脊椎麻酔、末梢神経ブロックなどを同時に行なうこともあります。
全身麻酔は、点滴からの注射で麻酔をかけます。麻酔がかかったら、気管に管を入れて(気管挿管)人工呼吸をします。管は手術中は麻酔ガスか麻酔注射薬を持続的に投与するので、麻酔が途中で切れることはありません。手術が終わって麻酔薬を切ると、数分で目が覚めます。目が覚めた瞬間は、管が入っているために声が出ませんが、管を抜けば声が出るようになります。管が入っていたせいで、一時的に声が出にくいとかノドが痛いなどの症状が出ることがあります。
麻酔に際しては、できるだけ痛くないように少量の鎮静薬や鎮痛薬を使用します。麻酔の痛みを心配しておられる方は、麻酔科医師が訪問した時に遠慮なくご相談ください。