がん薬物療法
がん薬物療法について
がん薬物療法は、従来の抗がん剤をはじめホルモン剤、分子標的薬剤、最近では免疫チェックポイント阻害剤など様々な薬物を使って治療する方法です。薬の服用や注射によって、がん細胞が増えるのを抑えたり、がん細胞を壊したりする作用が期待できます。当院では肺がん・胃がん・大腸がん・乳がん・膵がん・頭頸部がん・婦人科系悪性腫瘍・悪性リンパ腫・白血病・各種肉腫など、さまざまながんの薬物療法に取り組んでいます。点滴や内服による投薬治療を中心に、患者さんの症状に応じた疼痛緩和も行っています。
治療経過、副作用とその対処方法
がん薬物療法とは、従来の「抗がん剤」をはじめ様々な薬物を全身にいきわたらせることによって、X線、CTなどの画像や肉眼でみえる病変だけでなく血管やリンパ管を伝わって転移してゆくがん細胞の増殖を妨げたり、完全に死滅させたりして、全身に広がる可能性のあるがん細胞を治療する方法です。
がんの種類や患者さん自身の体の状態によって、治療に使われる抗がん剤の種類が異なるため、治療経過や副作用の出かたに違いがありますが、ここでは一般的な治療経過とよく現れる副作用、そしてその対策方法についてご紹介します。
治療まで
主治医よりこれから治療を始めるがん薬物療法の内容と治療のスケジュール、予測される副作用とその対処方法等について詳しい説明があり、その後薬剤師と看護師が具体的にがん薬物療法についての説明、そして日常生活の過ごし方等をパンフレットなど用いて行います。
ご不明な点については何でも質問をしてください。最近は外来でがん薬物療法を受けられる方が増えてきました。
治療をしながら患者さん自身で副作用軽減のための工夫をしていただくことになりますので、十分な説明とご理解、そしてご自宅での対処ができるよう説明をさせていただきます。
治療中
従来の抗がん剤の副作用のうち最もよく現れるのは、
【1】吐き気 【2】骨髄抑制(特に白血球減少) 【3】脱毛です。
なお、ホルモン療法剤、分子標的薬剤、免疫チェックポイント阻害剤などの副作用には独特のものがありますので、その都度担当医、薬剤師、看護師などから説明します。
【1】吐き気について
吐き気は、投与中や投与後数日から1週間後に現れることがありその程度は個人差が大きい症状です。
出現する時期によって吐き気を抑える薬が違いますので、吐き気に応じた点滴や内服薬を使ってコントロールします。
【2】骨髄抑制について
骨髄抑制は、抗がん剤を投与してから1~2週間後に発現し、体の抵抗力が弱まったり感染症にかかりやすくなる危険があるので、定期的に採血をして白血球などの数を確認したうえで患者さんに応じた感染症対策を行います。
【3】脱毛について
脱毛は、抗がん剤の投与後2週間程度で始まります。治療前に髪を短くカットしておくと手入れがしやすく、脱毛に備えてかつらを準備されるとよいと思います。
治療中の日常生活について
十分な睡眠や食事、食欲がない時はこれなら食べられるというものを無理せず摂れるようにしましょう。
体調の良い時は好きなことで楽しい時間を過ごすなど気分転換をはかりましょう。
治療後
従来の抗がん剤では副作用が徐々に軽減していき、体調が整ってくる段階になりますが、骨髄抑制など回復するまでに数カ月かかる症状がありますので、採血の結果やご自身で感じられる体の具合を確かめながら生活を送られることをお勧めします。 ホルモン剤、分子標的薬剤、免疫チェックポイント阻害剤では、長期にわたって治療が続きますので、別途担当医や、薬剤師、看護師などから説明させていただきます。
患者さんやご家族の方々が安心してがん薬物療法を受けていただけるように、主治医をはじめ薬剤師や看護師、栄養士などチームでサポートをさせていただきたいと考えています。ご不安な点については悩まずにいつでも相談してください。