兵庫県立がんセンターTIMES

がんセンタータイムズ

第4回 がんのリハビリテーションってどんなことをするの?

病院や病気のことで気になることを病院で働いている職員さんにインタビューする ともたんの院内散歩です。

ともたん:

こんにちは。兵庫県立がんセンターのマスコットキャラクター ともたんです。

第3回目は、「がんのリハビリテーションってどんなことをするの?」です。

がんのリハビリテーションついて兵庫県立がんセンターの理学療法士さんに聞きました。

よろしくお願いします。

理学療法士:

よろしくお願いします。

ともたん:

がんのリハビリテーションについて教えてください。

理学療法士:

がんのリハビリテーションとは、がんやがんの治療による体への影響に対する回復力を高め、残っている体の能力を維持・向上させるために受ける医療です。
これまでのリハビリテーション医療は、脳疾患などに対して行われてきましたが、がん治療の中でも重要な役割を持つようになってきています。また、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、臨床心理士など、さまざまな専門職種からなるチームとして提供されます。

ともたん:

どういう目的でリハビリテーションを行うのでしょうか?

理学療法士:

がん医療の進展に伴い、がんが「不治の病」から「がんと共存する」時代に変わってきています。
がん患者の生活の質を維持・改善していくためにがんのリハビリテーションの必要性が高まっています。
がんという病気の進行や治療の過程で生じる機能障害、ADLActivities of Daily Living・日常生活動作)・QOL(Quality of Life・生活の質)の低下、心理的苦痛の予防・回復・維持・緩和の目的のために行います。

ともたん:

がんになってもなるべく今まで通りに生活したいですね。そのためにできることとしてリハビリテーションを行うということですね。治療や症状によってリハビリテーションの内容が変わるのでしょうか?

理学療法士:

そうですね、出来ることを少しずつでも行うことが大切です。

がんと診断された後、治療による合併症や後遺症などを予防する目的で、治療が始まる前あるいは治療を受けた直後から行われることがあります。このように予防が重視されていることが脳卒中など他の分野のリハビリテーション医療とは大きく異なっています。がんのリハビリテーション医療は治療のどのような時期であっても、どのような病状であっても受けることができます。

診断された直後から始める予防的リハビリテーション、治療と並行して行う回復的リハビリテーション、再発・転移の時期には、今の生活をできるだけ長く維持するための維持的リハビリテーション、症状緩和が中心になる時期には緩和的リハビリテーション、といったように、がんの治療時期に応じてリハビリテーション医療の目的や役割が異なります。

ともたん:

どの時期からでも始められるリハビリテーションがあるのは嬉しいですね。リハビリテーションを行うとどのような効果があるのでしょうか?

理学療法士:

運動をすることで再発が減ったり、生存期間が延長することがあります。全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃するリンパ球であるNK(natural killer:ナチュラルキラー)細胞などの免疫細胞が活性化します。また、筋肉痩せ(サルコペニア)や悪液質(あくえきしつ)(栄養状態が悪化し、衰弱した状態)を予防します。筋肉から分泌される物質(マイオカイン)に抗がん作用があることもリハビリテーションを行う効果と言えます。

ともたん:

運動を行う頻度や時間、種類などどのようなものを行えば良いのでしょうか?

理学療法士:

有酸素運動として、週に150分の中くらいの運動もしくは75分の激しい運動や、筋力トレーニングとして主要筋群(全身の筋肉の中で特に大きく、姿勢維持や日常動作、運動パフォーマンスにおいて中心的な役割を果たす筋肉のグループ)のエクササイズを週に23回行うのが良いとされています。

ともたん:

中くらいの運動や激しい運動にはどのようなものがあるのでしょうか?

理学療法士:

中くらいの運動として、『社交ダンス』・『平地でのサイクリング』、激しい運動では、『エアロビクスダンス』・『ジョギング』などが挙げられます。

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ともたん:

ガーデニングなども運動に分類されるのには驚きましたが、よく考えれば立ったり座ったりする動作が多いので立派な運動になるんですね。運動をするにあたっての注意点はありますか?

理学療法士:

運動を開始する前に主治医にご相談ください。いきなり高負荷な運動は始めず、ストレッチなどのウォーミングアップとクールダウンを行うようにしましょう。また、不調を感じる場合や血圧が普段と比べて高かったり低かったりする場合は運動を控えましょう。免疫力が低下している場合は感染症予防のためにジムやプール等に行くことも控えましょう。

ともたん:

自身の体調と相談しながら運動することが大切ですね。
自宅で簡単にできる運動があれば教えてください。

理学療法士:

では、自宅でできる運動についてご紹介します。

  1. スクワット(深呼吸しながら5〜6回、1日3回)

    つま先は少し開き、膝が出ないように注意しながら行いましょう。
    転倒に気を付けましょう。椅子や机などを使って行うと良いでしょう。

  2. 片足立ち(左右1分間ずつ、1日3回)

    こちらも転倒に注意し、何か支えるものを持ちながら行いましょう。目標は1分ですが、筋力に合わせながら行いましょう。

  3. ウォーキング(1日7,000歩 目標)

    1日7,000歩歩けばがん予防になると報告されています。

  4. 活動量を増やす

    活動量には運動と生活動作が含まれます。洗濯物干し・取り込み、料理・料理の片付け、入浴で約6,000歩となり、あと少し散歩等を行えば目標歩数に届きます。

当院のリハビリテーション部が自宅でできるエクササイズの動画を出していますので、併せてご覧下さい。


リハビリテーション部 YouTube動画

ともたん:

日常生活の中でもこんなに動いているなんて驚きです。それに加えて運動を取り入れることができれば良いですね。

理学療法士:

そうですね。がん患者さんは診断が出て治療を開始する前から、それぞれの段階に合ったリハビリテーションを続けていくことが大切です。適切なリハビリテーションを続けることで、身体機能の低下や喪失を阻止し、QOLの向上を目指すことができます。がんを患ってもより良い生活を送ることができるよう患者さん自身がリハビリテーション治療の必要性をよく理解し、担当医と相談しながらリハビリテーション治療のサポートを積極的に受けていくことが大切です。

ともたん:

がんのリハビリテーションについて分かりやすく教えてくださり、ありがとうございました。

運動することは大切ですが、自身の体調とも相談し無理せず行いましょう。

では、また次回のともたんの院内散歩を楽しみにお待ちください!

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