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診療部の紹介

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標準治療・治療成績について

標準治療と治療成績

はじめに

当科は皮膚がんを中心に扱いますが、それ以外に皮膚良性腫瘍、表在性軟部腫瘍、皮膚悪性リンパ腫、転移性皮膚腫瘍などの病変を対象として診療を行っています。多くの例では外科治療が主体となり、2019年度の皮膚外科手術は302例で、全身麻酔は115例、局所麻酔は187例でした。

2014年に悪性黒色腫に免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(商品名オプジーボ)が保険承認され、以後、悪性黒色腫では免疫チェックポイント阻害剤や、分子標的薬など、数種類の治療薬が新規に適応となっています。

2021年1月現在、免疫チェックポイント阻害剤は47例、分子標的薬は21例の患者様で使用経験を重ねています。まだ承認後の年数が少なく、中長期的な治療成績については今後の評価となりますが、少しでも予後を改善できるよう、最新のエビデンスやガイドラインに沿って適正使用につとめています。

基底細胞癌

基底細胞癌

黒色の結節がゆっくりと大きくなるもので、顔に発生することが多いです。最初はホクロのようだったものが、徐々に大きくなり、中央が潰瘍(表面がくずれる)化して、出血するようになってきます。後述の悪性黒色腫とよく間違われますが、基底細胞癌は他の臓器に転移することはまずありません。しかし、十分に切除しておかないと、同じ部分に再発することがあります。当科での手術例では再発症例はなく、この疾患で亡くなった方もありません。手術治療の困難な場合には放射線治療を行います。

有棘細胞癌

有棘細胞癌

最初はガサガサした病変(前癌状態)などから盛り上がった赤い結節が生じてきます。顔や手など紫外線の影響を受ける部分に生じやすいです。また、やけどや、ケガの傷跡(瘢痕)から発生する場合もあります。 病巣が浅く皮膚に限局する場合には5年生存率は92%~96%(ステージIおよびII)ですが、深部に浸潤する腫瘍やリンパ節に転移した場合(ステージIII)にはと、5年生存率は62%と低下します。また遠隔転移したステージⅣでは5年生存率は38%と不良です(当センターデータ)。単なる手術治療では治癒困難な場合には、放射線治療、化学療法を行います。

悪性黒色腫

皮膚のメラニン色素を作る細胞が悪性化した(いわばホクロの癌)もので、実際黒い色をした病巣ができてきます。盛り上がりのない平坦な色素斑で始まり、その中に隆起した結節(しこり)ができてきます。日本では足の裏に多いですが、紫外線の影響で顔や腕にできる方も少なくありません。大きく(最大径6mm以上)、形や色調の不規則な色素斑は要注意で、一度お近くの皮膚科で診て貰うことをお勧めします。手足の爪にできることもあります。爪では最初は茶色~黒色の細い線として見え、だんだんと幅が太く、そして色も濃くなってきます。爪の周りの皮膚にも色がついたり、爪が割れたりするのは、かなりの注意信号です。

悪性黒色腫

乳房外パジェット病

乳房外パジェット病の多くは、肛門の周囲や、男性では陰茎、陰嚢に、そして女性では陰唇など、いわゆる外陰部に発生します。湿疹の様に見え、赤い斑で、褐色の部分があったり、ビランしてジュクジュクすることもあります。掻痒(かゆみ)を感じることもあります。表皮に病気が限局している初期のうちに十分な治療ができれば、その後の心配はなくなります。しかし、この病気のことを知らないと単なる湿疹や、タムシなどのカビの病気として、間違った治療を続けたり、放置しているうちに、病気が進行してしまいます。結節(しこり)ができ、更にリンパ節などに転移し生命にもかかわってきます。困るのは発生しやすいのが外陰部という、他人に見られたくない部分であることです。病気のためとは言え、また、相手は医者だとは言え、厭だなと思うのは当然です。まして、御自分では「多分湿疹だろうし、これぐらいのことで受診するのも・・・」と考えられると、皮膚科への足が遠のくのも無理ありません。でも乳房外パジェット病は、極めて稀な病気ではありません。気になる皮膚症状があれば、一度皮膚科専門医を受診してください。「どうして、ここまで放っていたの!?」と言われない内に。
乳房外Paget病の5年生存率は、表皮内に限局した時期・真皮浸潤の時期・局所リンパ節転移の時期ではいずれも100%で、遠隔リンパ節転移では32%に減少します。遠隔臓器転移の場合には1年生存率で30%と極めて不良です。

乳房外パジェット病

血管肉腫

血管肉腫

「頭の皮膚に内出血ができた」といっていたら急に盛り上がってくる、出血する、という形で初めて来院されることが多いです。血管を作っている細胞が癌化しているので、血液がよく流れています。見た目にも赤い、紫色をしています。そして周囲にどんどんと広がっていくし、正常の血管の中にも細胞が流れこんで、他の臓器に転移もしやすいのです。手術、放射線、抗癌剤、免疫療法などを組み合わせて治療しますが、とても激しい病気です。

現在実施中の臨床研究

下記の臨床研究を実施しています。

放射線治療中に出現した多形紅斑様皮疹の検討

研究対象:

2010年1月より2020年12月まで放射線治療中に出現した皮膚症状のために当センター皮膚科科で診察を受けた方

研究目的・方法:

放射線治療中に出現した多形紅斑様皮疹の症例の臨床経過や皮疹の重症度を記録します。

研究に用いる試料・情報の種類:

病歴や術後経過の診療情報 (匿名化)

研究に関する利益相反について:

なし

外部への試料・情報の提供:

なし

研究組織:

兵庫県立がんセンター 皮膚科 部長 高井利浩

お問い合わせ先:

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば,他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で,研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また,試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので,下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:

兵庫県明石市北王子町13-70
兵庫県立がんセンター 皮膚科・高井利浩
TEL:078-929-1151

研究責任者:兵庫県明石市北王子町13-70 兵庫県立がんセンター 皮膚科・高井利浩
研究代表者:兵庫県明石市北王子町13-70 兵庫県立がんセンター 皮膚科・高井利浩   

免疫チェックポイント阻害剤・化学療法併用治療による皮膚障害の後方視的検討

1.研究の対象

2019年1月以降、免疫チェックポイント阻害薬と、化学療法(細胞障害性抗癌剤)の併用療法に出現した皮膚症状のために当センター皮膚科で診察を受けた方

2.研究目的・方法

免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用療法に出現した皮膚症状の、臨床経過や皮疹の重症度を記録します。この調査の目的は免疫チェックポイント阻害剤・化学療法併用治療による皮膚障害を集積し、臨床経過の情報の解析を行うことにあります。それにより、対象となる患者様への利益は特に生じませんが、今後の免疫チェックポイント阻害剤・化学療法併用治療による皮膚障害の診断・治療に関して、将来の患者さんの予後予測やより適切な対応・治療の発展に繋がることが期待されます。
【調査参加は患者さんの自由であること】
調査への参加は患者さんの自由です。患者さんの自由な意思でお決め下さい。調査対象の患者さんで、調査に同意いただけない患者さんは下記の問合せ先までご連絡下さい。但し、調査参加に異議のある場合、2023年3 月末日までにお願い致します。調査の進行度により、場合によっては削除出来ない場合があります。

3.研究に用いる試料・情報の種類

病歴や経過の診療情報 (匿名化):調査情報のうち、患者さんのお名前、住所などプライバシーに関する情報は、すべて匿名化するため、外部に漏れることは一切ありません。今回の研究で得られた結果に関しては、医学的な専門学会や専門雑誌などで報告されることがありますが、前述のとおり患者さんの個人情報は守られます。

4.研究に関する利益相反について

なし

5.外部への試料・情報の提供

なし

6.研究組織

兵庫県立がんセンター 皮膚科 医長 八尋知里
兵庫県立がんセンター 皮膚科 部長 高井利浩

7.お問い合わせ先

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:

兵庫県明石市北王子13-70
兵庫県立がんセンター皮膚科・高井利浩
TEL 078-929-1151

研究責任者:

兵庫県明石市北王子13-70
兵庫県立がんセンター皮膚科・高井利浩

研究代表者:

兵庫県明石市北王子13-70
兵庫県立がんセンター皮膚科・高井利浩

皮膚腫瘍画像データセットの構築と診断支援プログラムの開発

「皮膚腫瘍画像データセットの構築と診断支援プログラムの開発」に関する臨床研究に臨床画像の提供を行っています。

信州大学医学部医倫理委員会の審査による医学部長の承認を得て実施しています。

倫理審査承認番号 4549(信州大学医学部医倫理委員会)
研究課題名 皮膚腫瘍画像データセットの構築と診断支援プログラムの開発
所属(診療科等) 皮膚科
研究責任者(職名) 奥山隆平(教授)
研究実施期間 倫理委員会承認日~2024年10月31日
研究の意義、目的 画像解析を用いた新しい皮膚腫瘍の診断方法の確立のため
対象となる患者さん 2005年1月1日から2023年3月31日までに皮膚の拡大写真(ダーモスコピー写真というカメラを皮膚に密着して撮影する特殊な写真)を撮影された方(データ収集は後ろ向きで行う)
利用する診療記録/
検体
診断名、年齢、性別、臨床画像、病変部位、病変サイズ、など
他機関への試料・
情報の提供方法
記録媒体の郵送、電子的配信により提供します。
研究方法 コンピュータなどを用いて画像解析を行い、新しい皮膚腫瘍の診断法を確立します。
研究機関名 信州大学皮膚科(研究代表者:奥山隆平)
問い合わせ先
(信州大学)
氏名(所属・役職):皆川茜・助教
電話:0263-37-2647
問い合わせ先
(当院)
氏名(所属・職名):  高井利浩  皮膚科部長
電話:078-929-1151(代表)

既存の画像や診療記録を研究、調査、集計しますので、新たな診察や検査、検体の採取の必要はありません。

利用する情報からは、患者様を直接特定できる個人情報を削除し、信州大学皮膚科に提供します。

研究成果は今後の医学の発展に役立つように学会や学術雑誌などで発表します。また将来的に医療機器等の開発に用いることがあります。また、規制当局等がデータ等を確認させて頂く可能性もあります。しかし、その際も患者様を特定できる個人情報は利用しません。
なお、収集する情報の精査過程において、カルテなどの診療情報を信州大学の本研究の担当者が閲覧させていただくことがあります。その場合も、個人情報の取り扱いには十分配慮し、外部に個人情報を持ち出すことはありません。

この研究にご自分の診療記録等を利用することをご了解いただけない場合、またご不明な点については、上記問い合わせ先までご連絡くださいますようお願いいたします。

画像利用への不参加を申し出られた場合でも、なんら不利益を受けることはありません。ただし、同意取り消しの申し出をいただいたとき、すでに研究成果が論文などで公表されていた場合や、試料や情報が匿名化されて個人が全く特定できない場合などには、結果を廃棄できないこともあり、引き続き使わせていただくことがあります。

不同意の場合には、


照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:

兵庫県明石市北王子13-70
兵庫県立がんセンター皮膚科・高井利浩
TEL 078-929-1151

までご連絡ください。

免疫チェックポイント阻害薬使用症例に生じた他剤による薬疹の後ろ向き観察研究

研究対象:

免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ、キイトルーダ、テセントリク、イミフィンジ、バベンチオ、ヤーボイ)で治療中または治療後3カ月までに皮膚障害を生じ、2017年1月1日から2020年12月31日までに当院皮膚科を受診した16歳以上の方が対象です。

研究目的・方法:

免疫チェックポイント阻害薬により治療を受けられている患者さんには様々な皮膚障害がみられますが、ときに他の薬剤が原因となって生じる皮膚障害があることが知られてきました。そこで、他の薬剤が関与して生じた皮膚障害(薬疹)の実態調査を、下記の研究機関と共同して行うことにしました。

研究に用いる試料・情報の種類:

年齢、性別、基礎疾患・合併症、治療歴、生じた副作用、薬疹の型、全身症状、経過、皮膚生検の所見などにつき、診療録を用いて調査します。

研究全体の期間と予定症例数:

研究期間は、倫理審査承認日から2022年12月です。当院での対象症例数は15人程度です。

研究結果の公表について:

本研究の成果は国内外の学会および学術雑誌で発表します。

個人情報の取り扱いについて:

研究に利用する情報には個人情報が含まれますが、お名前、住所など個人を直ちに判別できる情報は削除し、研究用の番号を使用します。また、研究用の番号とあなたの名前を結びつける対応表を作成し、研究責任者が責任をもって適切に管理いたします。研究成果が発表される場合にも個人を直ちに判別できるような情報は利用しません。

外部への試料・情報の提供:

主研究施設である、下記への情報の提供がなされます。
【研究機関】国立病院機構 四国がんセンター 皮膚科
【研究責任者】藤山 幹子
【連絡先】〒791-0280 愛媛県松山市南梅本町甲160
国立病院機構 四国がんセンター 皮膚科 藤山 幹子
TEL: 089-999-1111(代表) FAX: 089-999-1128

研究組織:

磐田市立総合病院 皮膚科 橋爪秀夫
京都大学大学院医学系研究科 皮膚科 椛島健治
杏林大学医学部 皮膚科 水川良子
慶応義塾大学医学部 皮膚科 高橋勇人
済生会横浜市南部病院 皮膚科 松倉節子
島根大学医学部 皮膚科 新原寛之
昭和大学医学部 皮膚科 渡辺秀晃
奈良県立医科大学医学部 皮膚科 正畠千夏
新潟大学大学院医歯学総合研究科 皮膚科 阿部理一郎
浜松医科大学 皮膚科 藤山俊晴
兵庫県立がんセンター 皮膚科 高井利浩
山梨大学大学院医学工学総合研究部 皮膚科 川村龍吉
横浜市立大学大学院医学研究科 皮膚科 山口由衣
和歌山県立医科大学 皮膚科 山本有紀
順天堂大学医学部 衛生学・公衆衛生学 黒澤美智子

お問い合わせ先:

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また、情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:

兵庫県立がんセンター 皮膚科
研究担当者:高井 利浩
〒673-8558 兵庫県明石市北王子町13-70

研究代表者:兵庫県立がんセンター皮膚科 高井 利浩
TEL:078-929-1151
FAX:078-929-2380

本研究への参加に同意しない場合は、連絡先までご連絡下さい