
- ■ 当科が扱う疾患および標準治療について
- 当科の扱う疾患は、腎がん、腎盂尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、陰茎がん、後腹膜腫瘍(肉腫など)、副腎腫瘍などです。
腎癌では、癌の存在する腎を摘出する根治的腎摘を原則とします。ただし小径の腫瘍では、腫瘍のみを切除する部分切除と全摘に予後に差がないことから、機能温存を目的に部分切除を行っています。また、転移性腎癌や再発例では、インターフェロン、インターロイキンによる免疫療法に加えて、新しく分子標的治療薬を導入し、すでに多くの患者様に使用しています
腎盂尿管癌では、腎尿管切除をおこないますが、進行度により術前、術後の抗癌剤治療を追加します。また、再発の場合も抗癌剤治療が中心になります。
腎摘、腎尿管切除では癌の根治を最優先に考えた上で、開腹手術と内視鏡手術の選択を行っています。
膀胱癌では早期の癌では経尿道的的に内視鏡下に切除、再発のリスクが高い場合は抗癌剤やBCGの膀胱内注入療法を追加します。進行癌で膀胱温存が不可能と考えられる場合は膀胱全摘をおこない、進行度により抗癌剤治療を追加します。膀胱全摘の場合は尿路変更術が必要となりますが、ストーマ型に加えて、病状より可能と考えられる場合はQOLの観点から腸管を使用した新膀胱造設術をおこないます。
腎盂尿管癌、膀胱癌は尿路上皮がんとして同じ抗癌剤治療が用いられますが、標準的なMVAC療法を第一に、無効例や副作用により継続困難な場合に新しい抗癌剤を使用したGC療法を行っており副作用の軽減がみられています。
- ■治療成績について
- 対象は腎癌、膀胱癌、前立腺癌で開腹手術をおこなった症例です。手術せずに抗癌剤や放射線などで治療された症例や膀胱癌で内視鏡手術のみの症例は含まれておりません。
T分類は原発部位の腫瘍進展度を表すものですが、摘出臓器の組織診断による病理学的分類を用いています。
生存率は、疾患特異生存率(治療をおこなった疾患が原因で死亡する場合のみを死亡として算出)をKaplan-Meier法を用いて算出しています。
前立腺癌は、早期癌では手術または放射線治療による根治的治療を行いますが、多様な治療方法があります。手術は根治性の高い治療で、当科では恥骨後式前立腺全摘除術、2~3週間の入院、切開創も小さく、術後の尿失禁も軽度で多くの場合消失します。放射線治療に関しては、放射線治療科にて専門的な立場から説明を行っていただき、手術、放射線治療ともに十分な情報を患者様に提供し治療法の選択を行っています。低分化癌や周囲への浸潤の疑いのあるハイリスク癌や局所浸潤癌では、手術、放射線治療、ホルモン治療を組み合わせた併用治療法を行います。進行癌ではホルモン療法が第一に行われますが、数年で治療に抵抗性となることが多く、以後の 治療が非常に困難になります。このようなホルモン抵抗性となった前立腺癌に対し、予後の改善が認められた抗癌剤(ドセタキセル)を使用した新しい化学療法を開始しています。
| 主要手術件数(2005-2007) |
| 疾患名 |
手術術式 |
2005 |
2006 |
2007 |
| 腎癌 |
腎摘除術 |
24 |
21 |
26 |
| 腎部分切除術 |
6 |
1 |
7 |
| 腎盂尿管癌 |
腎尿管切除術 |
11 |
11 |
17 |
| 膀胱癌 |
経尿動的切除術 |
83 |
78 |
95 |
| 膀胱全摘除術 |
15 |
11 |
15 |
| 前立腺癌 |
前立腺全摘除術 |
70 |
50 |
33 |
| 前立腺肥大症 |
経尿道的切除術 |
30 |
22 |
17 |
| 疾患特異生存率 |
|
| |
病理学的T分類 |
症例数 |
3年 |
5年 |
10年 |
| 腎癌 |
T1 |
121 |
96.7 |
93.5 |
90.3 |
| T2 |
23 |
79.6 |
79.6 |
66.3 |
| T3、T4 |
59 |
65 |
51.3 |
41 |
| 全症例 |
203 |
85.1 |
81.9 |
71.6 |
| 膀胱癌 |
T1、T2 |
67 |
88.6 |
88.6 |
88.6 |
| T3、T4 |
56 |
57.3 |
49.3 |
46.3 |
| 全症例 |
123 |
75.1 |
72.1 |
72.1 |
| 前立腺癌 |
T2 |
116 |
100 |
100 |
100 |
| T3、T4 |
109 |
98.3 |
95.5 |
94.6 |
| 全症例 |
225 |
99.1 |
97.7 |
94.6 |
2008年11月