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消化器外科

当科・当部のご案内
 はじめに
過去5年間の手術症例数は、食道癌192例、胃癌746例、結腸癌282例、直腸癌244例、肝細胞癌405例(穿刺治療275例)、膵癌110例など、どの領域も豊富な手術症例数を経験しています。特に最近は鏡視下手術を積極的に導入し患者さんの手術侵襲の軽減に努めています。
 標準治療・治療成績について

●食道
食道癌に対しては、進行癌では右開胸開腹食道亜全摘術、3領域郭清を標準術式とし、放射線科ならびに消化器内科の協力のもとに集学的治療を積極的に行なっています。また体にやさしい治療として病期の早い時期の食道癌に対しては、胸腔鏡下食道切除術を取り入れ、手術の低侵襲化をはかるように努力しています。
特殊型や重複癌をのぞく治療成績は5年生存率でstage 0; 91%、stage I; 79%、stage II; 64%、 stage III; 43% stage IV; 13%です。

●胃
胃癌治療ガイドラインに準拠した形で院内治療方針を作成し、それを基本方針として術式を検討しています。切除による根治性が得られる場合や予後の延長が期待できる場合は、進行癌に対し他臓器合併切除を含めた広範囲の胃切除とリンパ節廓清を行っています。また早期胃癌に対しては根治性を損なわない機能温存手術(噴門側胃切除術など)や低侵襲手術(腹腔鏡下幽門側胃切除術など)を行っています。進行度(Stage)別の5年生存率はIA; 93%, IB; 89%, II; 73%, IIIA; 54%, IIIB; 27%, IV; 7%です。

●結腸・直腸
結腸癌・直腸癌に対しても同様に根治性が得られる場合や予後の延長が期待できる場合は、進行癌に対し徹底したリンパ節廓清を伴う腸切除を行っています。肛門に近い直腸癌に対しては、できる限り肛門機能を温存すべく超低位前方切除術などの術式を工夫しています。進行が著しくない症例に関しては腹腔鏡下腸切除を行い、低侵襲化をはかっています。進行度別の5年生存率は結腸癌でI: 89.6%, II: 77.6%, III: 65.4%, IV: 11.5%、直腸癌でI: 88.2%, II: 85.0%, III: 79.5%, IV: 17.8%です。

●肝臓
肝細胞癌はその90%に背景疾患としてB型やC型肝炎があり、多くは慢性肝炎〜肝硬変が併存しています。そのため治療に関しては患者さんの肝予備能と腫瘍側の因子(大きさ、個数、部位、脈管との関係)を考慮しながらバランスのとれた治療法を選択する必要があります。長期生存が期待でき、安全な手術と評価される場合は根治性が最も高い肝切除を第一選択の治療法と考えています。また切除が選択されなかった時でも腫瘍の状況に応じて経皮的、開腹下、または腹腔鏡下でのラジオ波やマイクロターゼ焼灼療法を行っています。最近ではミラノ基準(≦3cm,≦3個,脈管侵襲なし,肝外転移なし)を満たす肝細胞癌は生体肝移植の保険適応にもなり、肝機能の悪い肝硬変の患者さんにおける肝癌の究極の治療法として選択肢の一つになりました。その他、粒子線治療や大量抗癌剤動注療法(経皮的肝灌流)など先進的治療についても御相談させていただきます。このように肝細胞癌治療は従来法に先進的治療が加わり、治療の幅が大きく広がりました。肝細胞癌の治療については消化器外科、消化器内科、放射線科や病理との院内カンファレンスを通して個々の患者さんにとって最善の治療法が提供できるように連携しています。年間の肝細胞癌切除症例数は約50例、局所穿刺焼灼療法は約50例、肝細胞癌治療後の5年生存率(1991年〜2006年)はTNM分類のI; 78%、II; 67%、III; 55%、IVA; 43%で全国集計での平均を上回っています。また胆管細胞癌や各種の転移性肝癌などその他の悪性腫瘍に関しても積極的に切除を行っています。

●膵臓・胆道
膵癌・膵腫瘍(膵内分泌腫瘍・嚢胞性膵腫瘍など)・腫瘤形成性膵炎などの治療に際しては、術前に消化器内科や放射線科と協力して質の高い診断を行なった上で、手術適応や切除範囲を決定しています。手術に際しては工夫を凝らした膵切除法や膵吻合法を用いて手術成績の改善を行ない、high volume centerとして症例数を重ねています。特に進行性膵癌に対しては、拡大リンパ節郭清や血管・大腸などの積極的な合併切除を行ない、切除率や根治性の向上に努めてきました。更に集学的治療として放射線科や消化器内科と協力し、さらに地域連携も密に行ない、手術前後に化学療法・放射線療法を積極的に行っています。2000年以降2007年末までで146例の膵疾患手術症例を経験し、そのうち膵癌切除例の5生存率は29%、中央値は16ヶ月(IVa 11ヶ月, IVb 12ヶ月)となっています。一方で切除不能症例に対しては、患者さんの「生活の質」(QOL) を考慮したバイパス術や化学療法などを行なうとともに、化学放射線療法にて腫瘍を縮小後に切除を行なった症例も増加してきています。また特殊な治療法としては、局所動注療法や粒子線治療(紹介)など独自性の高い治療も選択枝に加えています。膵癌手術症例進行度(Stage)別5年生存率は、0:100%、I:67%、II:67%、III:12%、IVa:24%、IVb:0%です。
胆道悪性腫瘍(胆管癌・肝門部胆管癌・胆嚢癌・乳頭部癌)に対しても2000年以降140例程の手術症例を経験し、肝切除や胆膵合併切除を含めた積極的な手術治療を行なっています。手術不可能例に対しては、内視鏡的ステント術による黄疸の解除後に化学・放射線療法を積極的に施行しています。

 いずれの疾患の場合にも、診療ガイドラインを基本として患者さん・御家族の方の意見を尊重しながら、個々の患者さんに最も適すると思われる治療を選択しています。

2008年11月




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