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整形外科

当科・当部のご案内
 はじめに
骨・軟部腫瘍の治療は手術が中心となります。良性の腫瘍は骨腫瘍、軟部腫瘍ともに腫瘍のみを切除しますが、小さいもの、長年変化なく症状の無いものは治療を行わず、外来で定期的に経過を観察します。 悪性の骨・軟部腫瘍はまわりの正常組織も含めて腫瘍を大きく切除し、切除によって生じた組織の欠損部は必要に応じて人工関節や筋皮弁などで再建します。腫瘍の種類や病状によって抗がん剤の全身投与や放射線治療が必要になります。
 当科の診療範囲

診療対象となる疾患と年齢

1. 原発性骨・軟部腫瘍

  • (ア) 良性骨腫瘍:骨軟骨腫(外骨腫)、内軟骨腫、類骨骨腫、骨巨細胞腫など
  • (イ) 悪性骨腫瘍:骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨悪性線維性組織球腫、脊索腫など
  • (ウ) 良性軟部腫瘍: 脂肪腫、神経鞘腫、デスモイド、神経鞘腫、神経線維腫、腱鞘巨細胞腫など
  • (エ) 悪性軟部腫瘍(軟部肉腫):悪性線維性組織球腫、脂肪肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、悪性末梢神経鞘腫、PNET,胞巣状軟部肉腫、明細胞肉腫など

2.腫瘍類似疾患:孤立性骨嚢腫、動脈瘤様骨嚢腫、線維性骨異形成、非骨化性線維腫、ガングリオンなど

3.転移性腫瘍:内蔵のがんの骨への転移(がん骨転移)

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 標準治療について

症状

 骨腫瘍

(ア)痛み:悪性骨腫瘍の場合は強い痛み、特に安静にしていても痛い事が多いようです。良性であっても、骨折により強い痛みが出現する事もあります。また、腰痛などが癌の骨転移の初発症状である事もあるので、注意を要します。

(イ) 腫瘤、変形:良性骨腫瘍で、骨の瘤(こぶ)が主訴である事があります。この場合痛くない事も多いです。多発性外骨腫症などは家族性に(遺伝性)骨の変形で見つかる事もあります。

(ウ) 良性骨腫瘍では、打撲やけがでX線撮影したところ、偶然に骨腫瘍が発見されるようなこともあります。

 軟部腫瘍

(ア)痛み:通常、痛みはありません。一部の腫瘍(良性の神経鞘腫、血管腫、悪性の滑膜肉腫など)で痛みを伴うことがあります。

(イ)腫瘤(こぶ):大きい(直径3cm以上)もしくは急に大きくなる、硬い、熱を持っている腫瘤(こぶ)は、痛くなくても悪性の事が多いので要注意です。

診断方法

外来で診察を行った後に画像診断を行います。症状に応じてレントゲン、CT、MRI、骨シンチグラム、腫瘍シンチグラムなど行い典型的な腫瘍はほぼ診断が可能です。画像検査で診断がつかない例や悪性が疑われる例は腫瘍の一部もしくは全てを採取して、病理検査(顕微鏡検査)を行います。
生検術(検査手術)について:診断のために腫瘍組織を採取する検査手術を生検術と呼び、いくつかの方法があります。採取した組織をもとに骨軟部腫瘍の診断に精通した当院の病理医が顕微鏡での組織診断を行います。それでも診断が難しい場合は国内、海外の専門施設に標本を送って相談することもあります。

1) 針生検:局所麻酔で行い、針で少量の組織を採取します。深い部位や神経や血管などが近接する部位では放射線科に依頼して、CTで確認しながら行うこともあります。

2) 切開生検:全身麻酔など局所麻酔以外の麻酔で行い、実際に切開して診断に充分な量の組織を採取します。

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治療法

主に手術で腫瘍を切除します。
悪性腫瘍は化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療を行うこともあります。小さく、症状が無い良性腫瘍は、手術は行わず、外来で数ヶ月に一度経過を観察することもあります。

良性骨腫瘍

  • 1)骨巨細胞腫など進行性の腫瘍、
  • 2)骨折が生じる危険性が有る、
  • 3)痛みなどの自覚症状がある、

    などの場合に手術を行います。それら以外は手術を行わずに経過を観察します。また良性腫瘍の可能性が高い症例については術中迅速病理診断を併用して生検術と手術を同時に行い患者負担の軽減に努めます。多くの場合、手術は病巣掻爬(腫瘍を掻き出す)を行い、生じた骨の欠損部には人工骨を充填します。人工骨にもいろいろな種類がありますが、当院では数ヶ月から数年で自分の骨に置き換わる吸収性の人工骨(β-TCP)を積極的に使用しています。また手指の腫瘍などで掻爬後の骨の欠損が小さい場合は人工骨の移植を行わないこともあります(移植せずとも自然に骨形成が起きて、2-3ヶ月後には正常骨で充たされます)。

悪性骨腫瘍

 骨肉腫、ユーイング肉腫、骨悪性線維性組織球腫など

  • 診断が確定すると直ちに治療を開始します。抗癌剤による術前・術後の化学療法と手術を組み合わせて行ないます。可能なかぎり患肢は切断せずに温存します。全治療には約1年間かかります。
  • 1) 術前化学療法:抗癌剤を投与し腫瘍を小さくて手術を行いやすくするためと、全身に転移している(可能性のある)腫瘍細胞を撲滅する目的でおこないます。

  • 2) 腫瘍のすぐ周りの正常組織内にも腫瘍細胞が存在するので、腫瘍が発生した骨とその周りの正常組織(筋肉など)を一塊として切除します(広範囲切除術)。切除後にできた骨の欠損部は人工関節、自家骨(切除した骨を放射線などで処理)、同種骨、骨延長術などを用いて再建します(骨格再建術)。当センターでは下肢の再建術に主に腫瘍用人工関節を用いています。人工関節は他の方法に比べて術後早期からのリハビリテーションや歩行が可能です。また成長期の患者さんでは成長ともに延長が可能な人工関節も使用できます。腫瘍が重要な血管を巻き込んでいたり、抗がん剤が効かない場合は切断術が必要になることがあります。また腫瘍の発生した部位によって手術ができない場合は重粒子線治療を行うことがあります。

  • 3) 術後化学療法:手術後にさらに抗癌剤を投与し再発、転移を予防します

 軟骨肉腫、脊索腫など抗癌剤が効きにくい腫瘍

  • 手術(広範囲切除、骨格再建術)をおこないます。腫瘍の発生した部位によって手術ができない場合は重粒子線治療などを行います。
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良性軟部腫瘍

  • 1)進行性で周囲に広がりやすい腫瘍、
  • 2)痛みがあったり、大きな腫瘤によって日常生活が制限される場合、
  • 3)整容的に問題がある場合、などに手術になります。それら以外は手術を行わずに経過を観察します。手術は腫瘍のみ切除します。

悪性軟部腫瘍

手術が第一選択の治療法となります。

手術:腫瘍のすぐ周りの正常組織内にも腫瘍細胞が存在するので、腫瘍とその周りの正常組織(筋肉など)を一塊として切除します(広範囲切除術)。切除後に皮膚、筋肉に欠損が生じた場合は形成外科医師の応援を得て筋皮弁形成術、移植術などの再建術を行います。 化学療法:当科では主に60歳以下を対象としています。横紋筋肉腫、骨外性Ewing肉腫など抗癌剤の感受性が高い小円形細胞肉腫は手術の前後に抗癌剤を投与します。それら以外で効果の期待できる腫瘍(悪性繊維性組織球腫、高分化型以外の脂肪肉腫、滑膜肉腫など)は手術を優先し術後に考慮します。また神経、血管の近くの腫瘍があり手術が困難な症例は抗癌剤を動脈から腫瘍へ高濃度で投与し腫瘍の縮小を図ります。一方、悪性神経鞘腫、平滑筋肉腫などの感受性の低い腫瘍には術前、術後ともに通常は行いません。 放射線治療:手術で充分に取りきれなかったり、再発の危険性が有る場合に行います。

がんの骨転移の治療について

  • 骨転移とは内臓などの癌が脊椎(背骨)や四肢(手足)の骨に転移することです。骨転移が起こると痛みがでたり、骨が弱くなり骨折が起こることがあります(病的骨折)。がんの骨転移の治療では手術は第一選択でありません。骨折の危険性が無い場合は保存的治療として抗がん剤、ビスフォスフォネート製剤、鎮痛剤の投与、放射線治療などを行って痛みのコントロールと骨転移の進行を予防します。病状によって治療法が変わりますので元々のがんの担当医を中心に治療方針を決めて頂きます。整形外科では骨転移の診断、骨折の危険性の評価、コルセットや装具、杖などを用いた骨折の予防、骨折が起こった時の手術を行っています。骨折したときは痛みを取って、できるだけ早く動けるように骨折部を金属で固定したり、腫瘍で折れたり弱くなった骨を人工関節で置き換えたりする手術を行っています。手術をしても元のがんは治らないので生存期間の延長は見込めませんが、お元気な間を寝たきりではなく、ある程度活動的に過し、QOL (生活の質)が改善することを目指します。また脊椎(背骨)に癌が転移した場合は、手足の麻痺が起きる事があり、放射線治療や手術を要する事があります。脊椎の手術は脊椎外科の専門施設に治療を依頼することがあります。

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 治療成績について(5年生存率)
  症例数 生存率
骨肉腫(初診時に遠隔転移のない四肢発生例) 35例 69.1%
     
軟部肉腫(高分化型脂肪肉腫を除く) 189例 71.2%
  主な組織型別の生存率    
  悪性線維性組織球腫 66例 74.0%
  脂肪肉腫(高分化型を除く) 40例 78.7%
  滑膜肉腫 19例 73.9%
  平滑筋肉腫 16例 60.7%
  悪性神経鞘腫 8例 35.0%
  横紋筋肉腫(成人) 5例 25.0%

2008年11月




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