- ■ はじめに
- 乳癌は、固形癌のなかでも、化学療法、放射線療法に対する反応性が高く、更に、半数以上が内分泌療法にも反応する。また、多くの分子標的治療薬の開発が進んでおり、近い将来、手術が不要になる可能性も高いといえる。しかし、現時点では、外科治療、化学療法、放射線療法、分子標的治療を組み合わせた集学的治療が必要である。近年、世界的に標準治療とされる治療法も、その内容や対象が年々変化し、より個別化された治療法が重視されるようになってきた。また、新たな治療法の開発、既存薬剤の組み合わせ、新薬の効果、安全性判定の為には、厳密な臨床試験が必要とされている。このような背景のもと、当科では質の高い乳癌診療を目指して、手術件数をむやみに増やすことなく、コメディカルスタッフも含めた高度なチーム医療を目指している。
- ■当科の診療範囲
- 乳腺悪性腫瘍全般
- ■標準治療について
- 当科の乳癌治療は、乳腺科、腫瘍内科、放射線科、病理診断科の協議のもとに作成された、乳癌治療マニュアルをもとに行われる。基本的には、ザンククトガレン会議でのコンセンサス、NCCNガイドライン、日本乳癌学会による乳癌診療ガイドラインをベースに、その時点での世界的標準治療を参考にしながら治療方針を決定している。
手術は、マンモグラフィ、エコー検査、MRI、病理検査を参考に、上記4科合同の術前カンファレンスによる合議制で各症例の術式を選択している。乳房温存術に際しては、術中断端病理診断を行い、断端陰性をより正確に確保している。また、早い時期からセンチネルリンパ節生検を導入、実施しており、500例以上を経験している。CTリンパ造影と色素法を併用し、迅速、正確なセンチネルリンパ節同定を実現している。
術前、術後化学療法、内分泌療法は、県下多施設協同臨床試験や全国規模の臨床試験に参加し、世界的標準治療を遵守しながら、更なる治療法の開発に努めている。
再発患者に対しては、個々の病態に応じた集学的治療を行い、緩和治療も含めた病病連携、病診連携により地域の医療機関との連携をはかりながら、切れ目のない治療を行っている。終末期患者は必要に応じて入院加療を行い、可能な限り在宅療養への移行を援助し、最期まで家族とともに安楽に過ごせるように配慮している。
【手術件数】

2008年11月