都道府県がん診療連携拠点病院兵庫県立がんセンター
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血液内科

当科・当部のご案内
 はじめに
成人病センター時代からも造血器悪性疾患を中心に診療を行ってきましたが、当院ががん拠点病院となり、名称を兵庫県立がんセンターと変更し、がん診療に特化したことから、当科も完全に造血器悪性腫瘍の診療に特化いたしました。そのため鉄欠乏性貧血や特発性血小板減少性紫斑病、膠原病などの診療は行っておりません。治療対象にしておりますのは急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、高リスク群骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患の一部です。これらの疾患であっても全身状態などの理由により積極的な治療が不可能な場合はお受けできない場合があります。また至急入院が必要でも、ベッドの調整がつかない場合もあリますので主治医の先生は、事前にご連絡いただきますようお願いいたします。最近は悪性リンパ腫症例が非常に増加しており、入院患者の内訳では全体の約2/3を悪性リンパ腫が占めています(図1,2)。ただし、この悪性リンパ腫の症例の多くは初回治療のみの入院で、残りの治療は全て外来で行っております。外来治療に際して、週2回程度の通院が必要になりますので、通院困難な方は地元の中核病院にて治療を受けていただいております。
 当科を受診される方へ
血液内科は正確な情報を提供しインフォームドコンセントを得た上で治療を進めることを基本方針としています。治療前には、診断名、治療法、予想される効果および副作用・合併症、他の治療法、予後などについて主治医が説明いたしますので、ご家族の方々とともによく聞いていただき、御理解をしていただいた上で、治療をご決定いただきますようお願いいたします。また、セカンドオピニオンとして他施設の専門医との意見交換も積極的に行っています。もし他院でのセカンドオピニオンの希望がありましたら御遠慮なくおっしゃっていただきますようお願いいたします。ただし電話等でのお問い合わせにはお答えできませんので、外来受診の方でしたら外来予約を、入院中の方でしたら病状説明の時間の予約を取っていただきますようお願いいたします。受診歴のない方につきましては主治医の先生からの紹介状・臨床データを持って受診してください。

2006年入院疾患内訳

2006年外来初診疾患内訳

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 当科の診療範囲
当科では年間24例程度の造血細胞移植を施行しております。現在では対象疾患は造血器悪性疾患であり、再生不良性貧血などの良性疾患は原則として行っておりません。2007年8月末時点で同種造血幹細胞移植総数は170件、うち血縁者間同種造血細胞移植は87件、非血縁者間同種骨髄移植は75件に達しています。骨髄移植推進財団の国際認定施設であり、海外からの骨髄提供を受けた移植も4例施行しました。また臍帯血バンクの認定施設にもなっており、大人に対する臍帯血移植も8例施行しました。同種末梢血幹細胞移植も20例施行しており、最近では血縁者の場合、末梢血幹細胞移植を行う機会が増加して来ております。さらに高齢者(60歳前後まで)や高リスク症例に対してはいわゆるミニ移植も行っております。自家移植につきましては、当科では2007年8月末時点で65件を施行しております。再発・難治性の悪性リンパ腫や多発性骨髄腫、再発時の急性前骨髄球性白血病などを対象に行っております。最近ではほぼ全例、末梢血幹細胞移植で行っておりますが、末梢血幹細胞がどうしても採取できない場合などは骨髄移植を選択する場合もあります。(図3)

当科造血細胞移植内訳

 標準治療・治療成績について

●悪性リンパ腫
リンパ節腫大を主訴として当科にご紹介をいただくことが多いですが、全てが悪性リンパ腫とは限りません。伝染性単核球症などのウイルス感染症やリンパ節炎、他の腫瘍のリンパ節転移なども考えられます。また悪性リンパ腫の中でもいくつもの種類があり、治療法が違う場合があります。そのため治療前には、組織にて悪性リンパ腫であるかどうか、悪性リンパ腫ならどのような種類かを確認してから治療を開始しております。その際には免疫染色を含む病理学的検査に加え、表面マーカー検査、染色体検査なども可能な限り施行し、総合的に診断しております。また病期の診断については、CTに加えFDG‐PET‐CT、MRI、骨髄生検等を必要に応じて加えながら診断しております。 治療については、ホジキンリンパ腫であればABVD療法(ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)と放射線治療を中心に行っております。非ホジキンリンパ腫のうち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫などの中等度悪性度群のものの多くはCHOP療法(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン)およびその類似の治療法にて治療を開始いたします。CD20陽性の場合はリツキシマブを併用(R-CHOP療法)いたします。国際予後因子(IPI)で予後不良が予想される場合は、第1寛解から自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を行う臨床試験を行っています。濾胞性リンパ腫など低悪性度群のリンパ腫は標準療法がないため、病期や全身状態などを考慮した上で、放射線治療、リツキサン単剤療法、R-CHOP療法などを行っております。バーキットリンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫、成人T細胞性白血病リンパ腫といった高悪性度群のリンパ腫には白血病治療に準じた治療を行っており、慢性リンパ性白血病や菌状息肉腫など特殊なリンパ腫にはそれぞれに合った治療法より開始するようにしております。

●白血病・骨髄異形成症候群
急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、高リスク骨髄異形成症候群(MDS)の治療については、当科はJapan Adult Leukemia Study Group (JALSG:http://www.jalsg.jp/)に参加しておりますので、可能な限りJALSGの臨床試験に参加していただいております。参加されない場合も、JALSGのプロトコールに準じて治療を行います。AMLについては寛解導入療法を1〜2コース行い、寛解に入ったら地固め療法を3〜4コース行います。予後良好と判断されれば化学療法のみで治療を終了し、予後不良の可能性が高ければ地固め療法中または後の造血細胞移植を考慮します。ALLについてはAML同様に寛解導入療法、地固め療法を行いますが、成人のALLは予後が悪いことが多いため、可能な限り造血細胞移植を考慮します。フィラデルフィア染色体陽性の症例にはイマチニブを併用いたします。高リスクMDSはAMLに準じて治療を行いますが、やはり予後不良が予想されるため可能な限り造血細胞移植を考慮します。

2008年11月




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