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消化器内科

当科・当部のご案内
 はじめに
 兵庫県立がんセンター消化器科では、早期消化器癌の診断と治療、手術不能・再発消化器癌に対する抗癌剤を中心とした化学療法を主として行っています。
具体的には、消化管癌(食道癌・胃癌・大腸癌)に対する内視鏡的治療・食道癌や膵臓癌に対する化学放射線療法・進行消化器癌(食道癌・胃癌・大腸癌・膵臓癌・胆嚢胆管癌・肝臓癌)に対する全身化学療法です。早期癌であっても内視鏡的治療・超音波下治療が困難な病態やこれらの治療で治癒が望めない症例、一方進行癌であっても手術可能な症例や、化学療法後腫瘍の縮小が得られ手術可能となった症例は、消化器外科に外科的治療をお願いしています。このように、内科・外科・放射線科で連携することによる集学的治療に努めています。
 標準治療・治療成績について

●食道癌について
早期食道癌の内科的標準治療は内視鏡的治療である。粘膜中層までの癌で、周在性3/4以下のものはEMR/ESDのもっともよい適応であり、粘膜深層―粘膜下層の癌も相対的適応としている。最近では72例のESDを行い、粘膜中層までの癌に関しては保存的に、粘膜深層―粘膜下層癌には化学放射線療法を追加することで、良好な成績が得られており、ESD導入後全例長期にわたり無再発生存中である。なお合併症は脈管侵襲例・穿孔1例、縦隔気腫症3例を経験したが、いずれも保存的に治癒している。
進行食道癌は化学放射線療法(5FU+CDDP+RT)が内科的標準治療である。二次治療には標準治療が確立していないがドセタキセル(+ネダプラチン)を試みている。89例の進行食道癌に対する成績は、生存期間中央値22.5ヶ月、1年生存率76%、2年生存率46%であった。

●胃癌について
早期胃癌の内科的標準治療は内視鏡的治療である。当科では2000年よりESDを導入しており、その適応を分化型癌を対象とし、[1]粘膜内癌、潰瘍なしであれば大きさにかかわらず [2]粘膜内癌、潰瘍あり、3cm以下 [3]粘膜下層浅層癌、3cm以下を拡大適応の対象としている。
ESD施行後1年以上経過した356例では上記の拡大適応症例においても遠隔転移例はなく遺残再発例は1例のみで、良好な予後を得ている。
進行胃癌は化学療法が標準治療である。最近は経口摂取可能例にはTS1+CDDPを一次治療の標準的治療としている。可能な症例には二次治療は主としてCPT11(+CDDP)またはweekly PTXを、三次治療としてそれらのクロスオーバーないしドセタキセルを試みている。一方、経口摂取不能例には一次治療としてMTX+5FUまたは5FU単独治療を、二次治療としては主としてweekly PTXを試みている。進行胃癌218例に対する成績は1年生存率:26.1%、2年生存率:8.5%、3年生存率:2.1%であり、著明な延命効果が得られている。

●大腸癌について
大腸腺腫および早期大腸癌には内視鏡治療が標準治療である。粘膜下層1000μまでで脈管侵襲のない、先進部高分化型癌を適応としている。年間200件の内視鏡的治療を行い、20件の早期大腸癌を治療しているが、前述の適応早期癌では、遠隔転移例はなく良好な成績を得ている。
進行大腸癌に関しては、一次治療はFOLFIRI(+ベバシズマブ)またはFOLFOX(+ベバシズマブ)であり、選択可能な病態であれば、原則的に、有害事象の特性を十分説明下上で患者選択としている。二次治療はこれらをクロスオーバーしている。最近、セツキシマブが保険適応となり、三次治療としてセツキシマブ(+CPT11ないしFOLFIRI)を導入している。肝転移例に対しては化学療法後腫瘍の縮小が得られ手術可能となった症例も経験している。FOLFIRI,FOLFOX導入以降の進行大腸癌71例の成績は、生存期間中央値は22.9ヶ月、1年生存率74.3%,2年生存率43.4%,3年生存率18.8%であり、著明な延命効果が得られている。

●膵臓癌について
消化器科での治療対象は進行膵臓癌で、手術不能な局所進行癌と遠隔転移例が対象である。局所進行癌は一次治療に5FU+放射線療法、二次療法にジェムザールを行っている。また遠隔転移例に対しては、一次治療としてジェムザールまたはTS1またはジェムザール+TS1を行い、二次治療はクロスオーバーした治療を行っている。局所進行癌21例の成績は、生存期間中央値12ヶ月、1年生存率42.9%であり、遠隔転移例65例では生存期間中央値6.5ヶ月、1年生存率12%であり、抗癌剤、放射線療法の導入により予後の改善が見られている。

●肝癌について
肝癌は他の癌と異なり、病期だけでなく肝機能が予後に大きな影響を与える。また肝癌は90%がB型・C型肝炎を背景に発生するため、肝炎の治療は非常に重要である。当科ではインターフェロン、核酸アナログ製剤を中心とした抗ウイルス療法を積極的に導入し、肝発癌予防を図っている。肝癌の治療は外科、放射線科、粒子線センターと連携し、ラジオ波焼灼療法・経皮的肝エタノール注入療法・経カテーテル的肝動脈塞栓療法・動注化学療法・粒子線治療・放射線療法・肝切除を、症例ごとに病期、肝機能に応じ、かつ各治療法の合併症も考慮した上で行っている。当科入院肝細胞癌初回治療症例(91~04年:416例)の5年生存率はTNM分類でI期80%、II期 75%、III期 58%、IV期 28%である。当院は平成20年11月に兵庫県肝疾患専門医療機関として選定され、地域のかかりつけ医と連携しながら、肝疾患の切れ目のない治療体制の確立を目指している。

2008年11月




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