第7回 がんになって不安で辛い時はどうすれば良いの?
病院や病気のことで気になることを病院で働いている職員さんにインタビューする ともタンの院内散歩です。
ともタン:
こんにちは。兵庫県立がんセンターのマスコットキャラクター ともタンです。
第7回目は、「がんになって不安で辛い時はどうすれば良いの?」です。
がんになって不安な気持ちや辛いときの相談について兵庫県立がんセンターの精神腫瘍科医師さんに聞きました。
よろしくお願いします。
精神腫瘍科医師:
よろしくお願いします。
ともタン:
がんと診断されたら不安になったり恐怖を感じることが多いと聞きます。その際の心の状態やケアについて教えてください。
精神腫瘍科医師:
ではまず、がん患者さんの心の状態についてお話しします。
がんと最初に診断された時や再発と言われたり、治療を続けてきたのに病気が進行していると聞いた時、誰もが非常に大きな衝撃を受け、気持ちが不安定になり動揺し混乱すると言われています。約2週間ぐらいで多くの方は日常生活に支障のない範囲まで回復し、現実の問題に向き合い困難を乗り越えようとする力が徐々に湧いてくるようになるとされています。ただし患者さんの中には、落ち込みや不安など、気分の不安定な状態が継続することもあり、この場合は早めに精神科医や臨床心理士などに相談し、こころのケアを受けることが大切です。
告知後の不安や落ち込みが長く続いて、体調にも影響が現れている(不眠、食欲不振など)場合は、適応障害やうつ病かもしれません。一般的には、がんの患者さんの20%ぐらいが適応障害やうつ病を経験すると言われています。ですから、決して特別なものではなく、がん患者さんは誰でも経験する可能性があります。
ともタン:
どんなときに適応障害やうつ病を疑い、相談すれば良いのでしょうか?
精神腫瘍科医師:
適応障害やうつ病では、焦燥感が前面に出ることが多く、不安で落ち着かない、何も考えられないといった症状が現れます。しかし、そういった『心の症状』だけでなく、『身体の症状』も現れます。例えば、動悸がして息苦しい、冷や汗が出る、めまいがするなどの自律神経症状や体の痛みが続く場合には、適応障害やうつ病を疑い、精神腫瘍科などに相談してください。長期間続いていなくても、日常生活に支障があれば相談してください。
ともタン:
これまでみんなと同じように、あるいはみんなより健康に気を付けてきたにも関わらず、がんと診断されると不安ですね。
精神腫瘍科医師:
そうですね、多くの人にとってがんの診断は死の恐怖にさらされる体験です。
ともタン:
そうですよね。落ち込んだ気持ちをどうやって立て直したら良いのでしょうか?
精神腫瘍科医師:
絶対にコレが効くということはないですが、『ご自身ががん治療について情報を得ること』や『気持ちがどう変わるのか』をあらかじめ知っておくことが大切です。
がん患者さんの不安内容は時期によって変わってきます。診断前後は治療のイメージが持てず、がんと診断されるということは死ぬのでは、と恐怖感でいっぱいの状況です。また、この時期は「自分の何か悪かったのか」など、ご自身を責める気持ちや「みんなと同じように生きてきたのに…」と孤独感を感じることも多いです。ただ、この時期はご家族も同じように恐怖を感じておられ、家族とお気持ちを共有する事ができる事が多いです。
また、患者さんご自身も驚くことですが、治療がひと段落したときもしんどい時期です。治療中は、検査や手術、抗がん剤などで何度も病院へ来院していましたが、治療がひと段落したら急に病院に来院する回数が減り、社会に放り出された気持ちになります。治療の影響でしんどく、痺れなど生活に支障のある症状が出て、患者さんは『こんな身体でどうやって以前の生活に戻ればいいの?』と途方に暮れる状況です。ただ、がん治療が順調に行っているほど、この気持ちをご家族には分かってもらえない事が多く、医療者に相談しても『治療は上手くいった』と叱咤激励されてますます落ち込むという悪循環になる事があります。患者さんご自身も頭では『治療はひと段落し、がんは落ち着いている』と思っていても、気持ちがついてこない状況です。しかし、この気持ちも、約3ヶ月〜半年で落ち着いてきます。
ともタン:
病院で相談できることには何がありますか?
精神腫瘍科医師:
身体のことはもちろん、仕事や経済面、家族や子どもへの伝え方など、様々なことが相談できます。
経済的なことは医事課やがん相談支援センター、ご自身の治療については主治医や看護師に、一般的な治療に関してはがん相談支援センター、気持ちのつらさはサポートケアや精神腫瘍科、身体の症状や痛みについては緩和ケア内科にご相談ください。
どこに相談したら良いかわからない場合は身近な職員にお声がけください。
ともタン:
患者さんが悩んでいたり辛い姿を見るご家族も辛いですよね。ご家族が患者さんへの接し方について教えてください。
精神腫瘍科医師:
患者さんが辛いといった時の反応は、ご自身で解決を目指さず患者さんに共感し『先生に聞いてみる?』などの声掛けを行い、患者さんの話を聞いてあげてください。話を聞くことだけでも気持ちが少し楽になることが多くみられます。また、必要に応じて医療者に患者さんの状況をお伝えください。
もちろん、ご家族のしんどさも看護師等に伝えてください。
ともタン:
不安や辛い時の気持ちについて分かりやすく教えてくださり、ありがとうございました。
どうしても辛いときは医師や看護師に相談してみてください。
では、また次回のともタンの院内散歩を楽しみにお待ちください!
