第3回 腫瘍マーカーについて
代表的な疾患とそれに関係する検査を、経験豊かな臨床検査技師「ケンさん」と高校生「リンちゃん」との対話形式で紹介していきます。
リンちゃん:
こんにちは、ケンさん。今日は腫瘍マーカーについて教えてもらえますか?
ケンさん:
こんにちは、リンちゃん。じゃあ腫瘍マーカーについて簡単に説明するよ。まず、腫瘍とは体の中に何らかの原因でできた異常な細胞のかたまりのことなんだ。腫瘍には良性と悪性があって、悪性のものが一般的に「がん」と言われているよ。 「がん」が発生すると健康な時にはほとんど見られない特徴的な物質が産生されて血液中に現れることがあって、これを腫瘍マーカーと言っているよ。
リンちゃん:
腫瘍マーカーにはどういったものがあるんですか?
ケンさん:
腫瘍マーカーの種類は50種類以上あるんだ。主なものを下の図にまとめたよ。赤く網掛けしているものは、当センターで測っているものなんだ。
リンさん:
腫瘍マーカーにもいろんな種類があるんですね。この腫瘍マーカーが正常値を超えるとがんの疑いがあるという事なんですか?
ケンさん:
いや、そういうわけでもないんだ。腫瘍マーカーの数値が異常だと必ずがんが存在するというわけではなく、また数値が正常であっても必ずしもがんが存在しないというわけではないんだ。 例に挙げたCEAも良性腫瘍のほかに長期喫煙・糖尿病・月経周期・妊娠・肺疾患・萎縮性胃炎・炎症性腸炎・加齢などで正常値を越える検査値が出ることがあるし、低いからといっても完全にはがんの疑いを否定できないんだ。
リンちゃん:
そうなんですね。
ケンさん:
だから腫瘍マーカーは人間ドックなどでがん患者さん以外が測るのはおすすめできないとされていて、がんの早期発見に有効なX線検査、超音波、CTなどの画像診断や内視鏡・細胞診などの検査の補助的診断に使われているんだ。
リンちゃん:
他の検査と合わせて測定することが大切なんですね。
ケンさん:
そうなんだ。あと、腫瘍マーカーはがんの治療効果の判定や再発・転移の早期発見にも有用なんだよ。 例えば、がんの手術後定期的に診察を受けるときに腫瘍マーカーの測定を行って、急に測定値が高くなったら再発や転移の可能性があると考えてさらに詳しい検査を行ったりするんだよ。 前の図で赤く網掛けしている項目は院内で測定しているので採血してから約1時間程度で検査結果が出るんだ。それ以外の項目は当センター以外の場所で測っているから、検査結果が出るまで1週間ぐらいかかるんだ。
リンちゃん:
結果が出るまで1週間もかかったら、その間ヤキモキしますね。その点、病院内で検査すると検査結果が早く出てすぐに診断してもらえていいですね。
今日もとても勉強になりました。ありがとうございました、次回もよろしくお願いします。