病理診断科の最新トピックス
病理診断科 梶本和義医師 インタビュー

今回のインタビューは腫瘍循環器科の診療状況について、病理診断科 梶本和義医師にお話を伺いました。
まず、病理診断科についてお聞かせください。
私たち病理医は臨床検査技師との共同作業のもとで、組織診断や細胞診断、病理解剖を担当します。病気の診断や治療目的で採取された組織や細胞の標本を顕微鏡下で観察し、臨床情報を照合した上で、診断を行います。また、不幸にしてなくなった患者様の病理解剖では臨床上の問題点の解決を目指します。近年、がん診療では、疾患の診断や治療法選択の精査のため、病理検体を用いて、遺伝子学的・分子生物学的検査を行う場面が多くなっているため、私達はそれらの検査体制の強化に積極的に取り組んでいます。
検査等に特化した診療科ということでしょうか。
また、最近の診療実績はいかがでしょうか。
はいそうです。
当科には、常勤医5名と非常勤医1名、病理検査技師などのコメディカル22名が在籍し、概ね年間10000件の組織診断(うち麻酔科管理手術3000件以上)、約9000件の細胞診断、約800件の迅速診断を行っています。近年需要が増している遺伝子検査やコンパニオン検査については、可及的に院内検査体制を整え(最新例としては2025年2月にはRAS-BRAF変異検査を導入)、検査結果の報告までの時間(Turn Around Time)の短縮に繋げています。2023年(令和5年)の院内検査実績は、マイクロサテライト不安定性検査160件、肺癌マルチ遺伝子PCRパネル検査168件、PD-L1検査594件、FISH検査403件です。その他、がん遺伝子パネル検査は(当科は検体選別やカンファレンス等に関与)、2023年は141件の実績があります。私達が受けた外部評価の結果については、2022年(令和4年)、日本医療機能評価機構による病理機能評価においてS評価を得て、2024年(令和6年)10月にはISO15189の2回目の更新認定を受けております。
最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。
私たちは患者様とは直接対面しませんが、正確で質の高い診断をすることで、診療に貢献できるように努めています。特にがん診療では、病気の診断や治療方針の決定、治療効果の評価、予後判定などの場面で、必要な情報や検体を迅速に提供できるよう体制を整えています。
梶本医師、ありがとうございました。