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皮膚科 髙井利浩医師 インタビュー

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今回のインタビューは皮膚科の最近の状況について、皮膚科 髙井利浩医師にお話を伺いました。

まず、診療実績についてお聞かせください。

当院の皮膚科では、皮膚がん、具体的には、悪性黒色腫(メラノーマとも称する)、有棘細胞癌、基底細胞癌、乳房外パジェット病、皮膚付属器がん(毛包がん、汗器官がんなど)、メルケル細胞癌、皮膚血管肉腫などや、上皮内癌あるいは前がん病変といわれる、ボーエン病、日光角化症等に対する診断、治療を行っています。当院の年間の皮膚がん登録数は全国集計で毎年10位以内と、有数の症例数です。20247月現在、皮膚科専門医2名を含む常勤医3名と専攻医1名の計4名で診療を行っています。

最近の診療内容はいかがでしょうか?

2014年に進行期悪性黒色腫に対して免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブ(商品名オプジーボ®)が初めて保険承認され、以後、免疫チェックポイント阻害剤のイピリムマブ、ペムブロリズマブも承認され、術後の再発リスク抑制を目的とした使用も可能になりました。他臓器のがんに対しても免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大が続き、現在では肺がん、胃がん、腎がん、食道がん、子宮がんなど多種のがんに使用されるようになっています。皮膚がんについては、悪性黒色腫以外への適応拡大が待たれていましたが、2024年2月にオプジーボ®の切除不能な上皮系皮膚悪性腫瘍への効能追加がなされ、進行期の有棘細胞癌、基底細胞癌、乳房外パジェット病、皮膚付属器がん等に使用することができるようになりました。これらの皮膚がんは、従来は進行期でも標準的な薬物治療がなかった現状がありましたが、オプジーボ®が使用可能となったことは患者さまにとっても朗報といえます。まだ当科での使用経験は限られていますが、実際に腫瘍の縮小が得られるなどメリットを実感できるケースもあります。ただし、全例に効果がある訳ではなく、効果がある例でも永続することは難しいため、今後のデータ集積によって有用性の確認や、メリットを予測する因子の推定、他の抗がん剤との併用の可能性の検討などが進むことが期待されます。

診療環境にも変化があったのでしょうか?

2023年に、皮膚科として超音波診断装置が導入され、日常診療に使用できるようになりました。従来は皮膚科では装置を持っておらず、検査室で超音波検査を行っていましたが、皮膚科外来や病棟でも検査できる環境が整ったことで、外来や病棟から患者さまに検査室に移動していただかずとも皮膚科医師の手元で検査が可能になりました。特に手術前のリンパ節の位置やサイズの確認、手術部位の周囲の血管や神経、筋などの走行や病変との位置関係などをリアルタイムに確認できる等、「いつでも手元でできる」ことによるメリットは計り知れないものがあります。定期的なリンパ節の経過観察や、病変サイズの時間経過の評価など、従来通り検査部で行なっていただくことも勿論多いですが、自科で検査できるメリットを最大限生かし、より適切な診断治療ができるよう、診断力の向上をスタッフ一同日々勉強しています。

髙井医師、ありがとうございました。

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