がんセンターについて

診療部の紹介 -リハビリテーション科-

診療部の紹介

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リハビリテーション科

概要

欧米では、がんのリハビリテーションはがん治療における重要な一分野であると既に認知されております。しかし本邦では、がんのリハビリテーションについての認知はまだまだ浅く、実際に厚労省よりがんリハビリテーションの認可が下りたのも2010年とごく最近の事であり、その歴史も浅いです。診断技術や治療法の進歩に伴いがん患者さんの生存率は増加し、様々な治療過程で機能障害が引き起こされ、それらの障害によりADL・QOLの低下が生じています。2016年12月に「がん対策基本法」が改正され、がん患者の療養生活の質の維持のために良質なリハビリテーションの提供を確保することとされています。がん自体に対する治療(手術療法)のみではなく周術期から緩和期まで、さらには、社会的な側面まで幅広くサポートできるがんリハビリテーションの取り組みが重要となっています。当センターは国から指定を受けた兵庫県における都道府県がん診療連携拠点病院として、日々の治療はもちろん、立ち遅れたがんのリハビリテーションを普及/発展させるために日々邁進しております。

当科を受診される方へ

当センターにおけるがんリハビリテーション

がんの治療、また進行の過程において生じた食事、身の回り動作、歩行等の日常生活動作の障害は、QOL(生活の質)を低下させてしまいます。当診療科では、低下した機能の回復を援助する事はもちろん、一部では治療前/手術前よりリハビリ介入を実施し、早期退院/社会復帰を援助しております。
また、医師/看護師をはじめ、院内の他科との連携、地域における医療/福祉・介護サービスとも連携、情報交換を行い、多職種からなる包括的チームアプローチを行っております。

対象疾患は以下の通りです。

  1. 骨軟部腫瘍による四肢機能制限(荷重免荷、筋力低下、関節拘縮)や日常動作制限
  2. 頭頸部がん(舌、頬、咽頭等)術後、放射線治療後、化学療法後の摂食障害、構音障害、肩障害
  3. 脊髄腫瘍による四肢麻痺、対麻痺
  4. 脳腫瘍による片麻痺、高次脳機能障害、摂食障害など
  5. 婦人がん術後における、下肢機能低下や歩行障害
  6. 呼吸器、消化器系がんの開胸/開腹手術前後の合併症予防と早期離床支援、摂食機能障害
  7. 造血器のがん(白血病など)による、廃用症候群(筋力低下、関節拘縮、心肺機能低下等)
  8. 乳がん術後の肩機能障害や日常動作制限
  9. 緩和ケア病棟による廃用症候群
  10. その他のがん治療(抗がん剤治療、放射線治療等)の過程で生じた廃用症候群

スタッフ

医師 1名
理学療法士 4名
作業療法士 1名
言語聴覚士 1名

当科を受診される方へ

スタッフ 資格等 主な所属学会
藤田 郁夫
リハビリテーション科部長(診療科長)
医療安全部部長
整形外科部長
1991年卒
日本整形外科学会認定 整形外科専門医 日本整形外科学会
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医  
日本整形外科学会認定 リウマチ医  
中部日本整形外科災害外科学会 評議員 中部日本整形外科災害外科学会
  骨軟部肉腫治療研究会

2017年4月

診療内容

理学療法

理学療法

がんそのものによる障害や、手術その他の治療の過程で生じた障害に対して関節可動域訓練、筋力訓練、持久力訓練、歩行などの日常動作訓練を実施し、機能や能力の維持・改善を図ります。

さらに、一部手術前よりリハビリ介入する事で術後の合併症予防を図り、早期回復をめざす予防的リハビリテーションや、緩和ケア病棟における在宅生活支援や運動、物理療法(温熱療法、電気治療)等を用いた緩和的リハビリテーションも行っております。

がん治療を行っていく為には、筋力/体力を維持・向上させる事は非常に重要なことです。現在日常生活に支障がなくても、治療前・治療中に持久カトレーニングや筋力訓練等を行い、筋力/体力の維持・向上を図っています。

作業療法

作業療法では、がんそのものによる障害や手術など治療の過程で生じた障害に対して、作業活動を通して、可動域練習、筋力訓練、巧緻動作練習、更衣・食事などの日常生活動作練習を行い、機能や能力の維持・改善を図ります。必要に応じて、日常生活の不便を代償するための自助具の検討や日常生活動作などの安全で効率的な方法の検討・練習、家屋構造に対する改修助言等を行います。さらに、理学療法と同様、予防的リハビリテーションや緩和的リハビリテーションも行っております。また、現在日常生活に支障がなくても、心身の緊張緩和や気分転換目的に、手工芸やレクリエーション活動等を行うことがあります。

作業療法

言語聴覚療法

言語聴覚療法

コミュニケーションの障害や食ぺる機能の障害に対して評価や訓練、指導を行っています。上記の障害の原因はさまざまですが、当センターでは多くの原因はがん疾患そのものや、治療中の二次的障害によるものです。対応として失語症や構音障害、音声障害などのコミュニケーションの障害に対しては、言語機能や発声発語器官の運動機能の改善を図り、コミュニケーション能力の向上を目指します。食べる機能の障害(摂食・嚥下障害)に対しては、必要に応じて嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査で評価を行いながら訓練を実施し、嚥下機能の向上に取り組んでいます。

2021年1月