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頭頸部外科

診療カレンダー

 
頭頸部外科 1診 米澤(宏) 岩江 米澤(宏)
2診 岩江 米澤(宏) 松居
3診 松居・寺薗・池本 松居・寺薗・池本 寺薗・池本

概要

  1. 頭頸部がんとは?

    頭頸部と書いて「とうけいぶ」と読みます。頭頸部とは脳や脊髄(脳神経外科領域)、眼窩(眼科領域)、頸椎(整形外科領域)などを除いた首から上のほぼ全ての構造を指します。

    頭頸部がんとは、上に示した頭頸部、すなわち頭部・顔面・頸部に発生する悪性腫瘍の総称で、主として耳鼻咽喉科領域に生じるがんと言いかえることができます。ただし皮膚にできる悪性黒色腫や皮膚がん(皮膚科領域)と悪性リンパ腫(血液内科領域)は通常頭頸部がんに含みません。あまり聞き慣れない病気と思われますが、日本において頭頸部がんはがん全体の約5%を占めており、その罹患率と死亡率は近年増加傾向で、特に口腔がんや咽頭がんでその傾向が目立っています。また世界的に頭頸部がんは6番目に多いがんと言われますが、その内訳が鼻副鼻腔、唾液腺、甲状腺、口腔、喉頭、咽頭など多岐にわたるため、発生原因や治療法と予後が部位により異なっており、情報の乏しさや複雑な解剖とあいまって、一般の方のみならず医療者でも扱いにくい領域の一つと認識されています。さらに言えば、呼吸や食事などの生きていく上で必要な機能や発声・味覚・嗅覚・聴覚などの豊かな人生を送るために不可欠な機能が集中した部位ですので、完治を目指しつつも生活の質(Quality of life: QOL)を考慮した治療を個別に相談しながら組み立てていく配慮が必要とされます。また人目に付きやすい部位ですので、顔面や頸部の手術では外観に対する整容的な要素も加味しなければなりません。各種治療とそれに伴って生じる有害事象や後遺障害とのバランスをいかに保つかが重要です。

  2. 頭頸部外科とは?

    頭頸部外科(とうけいぶげか)とは、頭頸部領域に生じた疾患の治療、なかでも上記の頭頸部がんを中心とした診断と治療をおこなう科の名称で、兵庫県立がんセンター内には頭頸部外科入院病床が33床も設置されています。それだけ多くの病床数が必要な理由は、頭頸部がん治療においては高度の専門性とそれを遂行するための人員や組織や機器などの治療体制を地域で集約して継続維持していく必要があるからです。

  3. 頭頸部外科の特徴とは?

    医師は専攻医を含め5人で診察に当たっています。それに加えて、嚥下や発声障害に対するリハビリを担当する言語聴覚士、頸部の治療に伴って生じる肩や上肢の筋力低下や関節の拘縮を予防・改善するリハビリを担当する理学療法士が治療前からサポートしています。入院病棟は頭頸部がん治療に必要な環境が整備されており、頭頸部がん治療の知識を日々更新・習得している看護師が配置され専門性の高い看護が行われています。また歯科口腔外科医や歯科衛生士の協力の下に口腔ケアを、皮膚科医の協力の下に皮膚ケアを、消化器内科医の協力の下に内視鏡的胃瘻(PEG)造設も適宜おこなわれています。

    当院で現在行っている治療については、抜粋したものが「当科の標準治療と治療成績」にありますので御参照ください。エビデンスに基づいた治療を行うことは大原則ですが、すべての頭頸部がんに対してエビデンスが確立されているとは言えないのが現状です。治療に対する情報は我々から提供いたしますが、最終的にどのような治療を選択されるかは相談の上で決定することとなります。治療にあたってエビデンスはより重要ですが、本人・家族の意志はより決定的と言うことができます。ただし、標準的な治療から大きく逸脱したことについてはいたしかねますので御了承ください。

    早期がんに対しては原則的に根治性を保持しながら発声や嚥下機能を温存する治療を心がけています。早期癌に対しては放射線治療も奏功しますが、一つのがんが治ってもすぐそばに別のがん(重複癌)が発生することも頭頸部がんでは珍しくありません。治療のために一度放射線を当てた部位(領域)に対しては、もう一度放射線治療を行うことは通常できませんので、頭頸部がんに対する放射線治療を行えるのは大部分の方において一生に一回のみ、とならざるを得ません(詳細な条件や内容は省略していますので御了承ください)。そのような理由から、発声や機能が温存できる場合は放射線治療よりも手術を強く勧めることが近年になり多くなってきています。

    進行がんに対しては機能温存を目指す比重がやや下がり、より根治性を優先した治療が必要となってきます。喉頭機能(発声機能や嚥下機能)の温存が可能かどうか、手術や化学放射線治療でそれぞれどの程度の治癒率が見込まれ治療後の機能がどのようになるのか、を提示しながら治療方針を決定していきます。治療開始時の意志決定が難しいケースでは、導入化学療法と呼ばれる抗がん剤治療によって治療効果判定をおこない、機能温存の見込みを推測し、その結果に基づいてその後の治療の決定(振り分け)をおこなうこともあります。放射線治療や化学療法については、放射線治療科医や腫瘍内科医と共同で詳細な検討を行っています。

    口腔がん、副鼻腔がん、中咽頭がん、下咽頭がん、頸部食道がんなどの拡大摘出術後の組織欠損部に対する微小血管吻合を用いた再建は、形成外科医と共同で治療に当たっています。術後の機能や整容を修復する目的で、前腕皮弁・腹直筋皮弁・大腿皮弁・肩甲骨皮弁・遊離空腸などの再建組織を採取し、欠損部の充填・被覆・バイパス材料として自家移植する手術を、年間約二十~三十数例に行っています。

    頭蓋底外科では脳神経外科、頸部食道がんでは消化器外科、縦隔進展甲状腺がんでは呼吸器外科の協力の下に共同で治療に当たっています。下咽頭がん早期症例の一部では、消化器内科医による全身麻酔下の内視鏡手術も行われており、良い治療成績が得られています。

    喉頭がんに対する喉頭温存手術には特に力を入れています。喉頭垂直部分切除術や喉頭水平部分切除術は当然ですが、喉頭亜全摘術も積極的におこなっています。また喉頭亜全摘術の適応拡大にも努めており、従来ならば喉頭全摘出術の対象となる状態でも、限界まで喉頭機能を温存できるように可能性を探求しています。それでもやむを得ず喉頭全摘出術が施行された方に対し、喉頭全摘患者リハビリ団体の神鈴会明石支部が当センター内で発声教室を開いています。毎月第一、第三月曜日に食道発声、T-Eシャント発声、笛発声、電気喉頭発声などの発声訓練や日常生活における相談などを行っていますので、日程的に可能であれば、術前の見学の他に、会員によるアドバイスや指導を受けることも可能です。

    手術日は火・水・木・金曜日です。治療までの待機時間が可能な限り短くなるように、全スタッフが努力をしています。

    日本耳鼻咽喉科学会専門医認定施設
    日本頭頸部外科学会認定頭頸部がん学会専門医研修施設
    日本気管食道科学会専門医(咽喉系)認定施設
    内分泌・甲状腺外科学会専門医制度認定施設

当科を受診される方へ

  1. 受診の対象となる病気は?

    対象となる疾患は、下記の部位に発生した悪性腫瘍(癌や肉腫など)です。頸部腫瘤(首にできたしこり)も頭頸部がんと関連したものが少なくないため、頭頸部外科での診断、検査、治療の対象としています。

    部位 亜部位
    鼻腔および副鼻腔 鼻腔、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形洞
    口唇および口腔 口唇、頬粘膜、歯槽歯肉、硬口蓋、舌、口腔底
    上咽頭 後上壁、側壁、下壁
    中咽頭 舌根部、扁桃、軟口蓋、口蓋垂、中咽頭後壁
    下咽頭 梨状陥凹、輪状後部、下咽頭後壁
    喉頭 声門上部、声門部、声門下部
    唾液腺 耳下腺、顎下腺、舌下腺
    甲状腺 甲状腺、上皮小体
    頸部食道  
    その他 頸部の悪性腫瘍・良悪境界疾患
  2. 外来を受診するためには?

    外来診療日は、月・水・金曜日の午前中で、診察を受けるためには原則として紹介状と予約が必要です。まず近くの耳鼻咽喉科医院やかかりつけ医を受診し、病診連携で当科の診察予約を取ってもらってください。

    インフォームドコンセントを得るために、検査や治療の必要な方に対して疾患、病状、治療内容を可能な限り理解してもらうように努めていますが、解剖や機能を含めた治療中や治療後の状態の全容を完全に理解いただくことは大変難しく不可能に近いため、入院後や治療中にも治療方針を相談・確認しながら、可能な限り希望に沿ったがん治療を行うことを心がけています。そのためにも、できるだけ診察時間にゆとりを持つことが大事と考えています。診察予約なしでの外来受診は、どうしても焦りがちなものになることが否めません。

紹介元の先生方へ

当科を受診していただくにあたっては、まず病診連携による診療予約をお願いいたします。外来の進行状況により必ずしも予約時間どおりに診察できないこともございますがあらかじめご了承ください。

早期の受診を必要とされる方で、なおかつ病診連携予約が希望どおりに取れない場合、予約なしで直接受診していただくことも可能ですが、予約の方の診察を優先いたしますので、予約外の方は待ち時間が非常に長くなることが多く、あらかじめご説明いただくようお願い申し上げます。その際は紹介状を持参していただき、月・水・金曜日の11時30分までに受付を済ませてください。またその場合の診察医は当日の外来進行状況によって変動いたしますので、あわせて御了承下さいますようお願いいたします。

小さな頸部腫瘤、あるいは嗄声や咽頭痛、嚥下困難感などの臨床症状での受診につきましては、可能であればまず近くの病院や医院の耳鼻咽喉科で診察を受けていただくことをお勧めいたします。

スタッフ

スタッフ 資格等 主な所属学会
岩江 信法
医療情報担当部長
兼 頭頸部外科部長
(診療科長)
1990年卒
日本耳鼻咽喉科学会専門医
会報査読委員・ANL査読委員
日本耳鼻咽喉科学会
日本気管食道科学会 専門医 日本気管食道科学会
日本頭頸部外科学会 認定頭頸部がん専門医
専門医制度委員会委員
日本頭頸部外科学会
日本頭頸部癌学会 評議員
学会誌編集委員会委員・教育委員会委員
日本頭頸部癌学会
内分泌外科専門医
日本甲状腺外科学会評議員
日本甲状腺外科学会
  日本喉頭科学会
日本嚥下医学会 評議員 日本嚥下医学会
  日本音声言語医学会
日本癌治療認定医機構がん治療認定医 日本癌治療学会
抗菌化学療法認定医
ICD(インフェクションコントロールドクター)
日本化学療法学会
厚生労働省後援がんのリハビリテーション研修 修了者
嚥下機能評価研修会 修了者
 
神戸大学臨床教授
兵庫医科大学臨床教育教授
 
米澤 宏一郎
頭頸部外科医長
2003年卒
日本耳鼻咽喉科学会 専門医 日本耳鼻咽喉科学会
日本気管食道科学会 専門医 日本気管食道科学会
  日本頭頸部外科学会
日本癌治療認定医機構がん治療認定医 日本頭頸部癌学会
  日本甲状腺外科学会
  日本喉頭科学会
  日本口腔・咽頭科学会
  日本嚥下医学会
松居 秀敏
頭頸部外科医長
2007年卒
日本耳鼻咽喉科学会 専門医 日本耳鼻咽喉科学会
日本頭頸部外科学会 認定頭頸部がん専門医 日本頭頸部外科学会
日本癌治療認定医機構がん治療認定医 日本頭頸部癌学会
  耳鼻咽喉科臨床学会
  日本音声言語医学会
  日本喉頭科学会
寺薗 貴浩
頭頸部外科医長
2011年卒
  日本耳鼻咽喉科学会
  日本頭頸部癌学会
  日本頭頸部外科学会
  日本耳科学会
池本 和希
頭頸部外科フェロー
2012年卒
  日本耳鼻咽喉科学会

2017年4月