食道がんテロメライシン療法を開始しました
山本佳宣医師 インタビュー
今回のインタビューは食道がんテロメライシン療法ついて、消化器内科 山本佳宣医師にお話を伺いました。
まず、食道がんのテロメライシン療法の概要について教えてください。
テロメライシンはアデノウイルスを遺伝子組換えという手法を用いて改変したウイルス製剤です。テロメラーゼが発現しているがん細胞で増え、がん細胞を溶解し、抗腫瘍効果を示すことが期待されています。食道がんに対して、テロメライシンは放射線療法と併用することを条件に2026年8月に承認さました。放射線治療の開始約3日前から約2週間毎に計3回、内視鏡下に食道がんに直接注射を行います。この場合、口から内視鏡を挿入しますので、苦痛の少ないように鎮静剤を用います。放射線療法を単独で行うことに比較して、テロメライシン局注を併用することで、がんの縮小効果が高まることが期待されます。しかしながら、周囲のリンパ節転移に対する効果は放射線療法のみの場合と比較してどれだけ効果があるか、十分に分かっていません。また、肺や肝臓などの遠隔転移で、放射線照射を行うことができない部位に対しては、この治療法では効果を期待することができません。主に食道のがんそのものに対して、効果が認められている治療法となります。
テロメライシン療法の対象を教えてください。
テロメライシン療法の対象となる患者さんは限定されています。以下のようになりますが、受診いただいて検査を行い、総合的に判断が必要な場合もあります。
- 手術や化学放射線療法(抗がん剤併用の放射線療法)ができない
- 食道がんや胸部の放射線治療歴がない
- StageⅡ,Ⅲが中心です(StageⅠやⅣについては、個別の判断となります)
- 身体的活動がほぼ自立できている
- 認知症がない
- 内視鏡下に病変に注射が可能(水分や柔らかい食事は摂取できる程度)
テロメライシン療法の実際の方法を教えてください。
初回は、放射線療法開始の約3日前に内視鏡下にテロメライシンを合計1~2mlを5~10カ所に分けて局所注射します。この時は苦痛を緩和するために、鎮静剤を使用します。副作用などの問題がない限り、約2週ごとに合計3回繰り返し内視鏡下の局所注射行います。放射線照射はテロメライシン局注の約3日後から土曜日曜祭日を除いて毎日、約5~6週間かけて行います。合計で50~60Gy(25~30回)の量の放射線の照射を予定しています。最初の10日間程度は入院での治療となることが多いです。その後は通院で治療を行うか入院を継続するかについて、患者さん個別に判断させていただきます。
テロメライシン療法の効果について教えてください。
治験においては、StageⅡ, Ⅲにおいて、治療後6カ月から18カ月までの時点で、おおよそ半数の患者さんで、局所のがんが、肉眼的にも顕微鏡による検査でも見えなくなるという効果が認められました。しかしながら、StageⅣではがんが進行しているため、これだけの効果は期待できないと考えられます。繰り返しとなりますが、周囲のリンパ節転移に対する効果は放射線療法のみの場合と比較してどれだけ効果があるか、十分に分かっていません。また、肺や肝臓などの遠隔転移で、放射線照射を行うことができない部位に対しては、この治療法では効果を期待することができません。主に食道のがんそのものに対して、効果が認められている治療法となります。
テロメライシン療法の副作用について教えてください。
テロメライシン療法 (放射線治療を含む)により以下の副作用が報告されています。
【重大な副作用】
- リンパ球数減少
- 食道穿孔、穿通性食道潰瘍、縦隔炎(頻度不明)
【その他の副作用】
発熱(約半数におこります)、食欲不振、便秘、皮膚炎、食道炎、食道潰瘍、食道出血、肺臓炎等、胸水、心嚢液
テロメライシン療法後に日常生活で注意することを教えてください
テロメライシンの局所注射後、24時間以内はマスク着用が必要で、唾液や鼻汁のついたティッシュなどを袋を二重にして廃棄するなどの処理が必要です。また48時間以内は血液や嘔吐物に対して、1週間以内は排便に対してウイルスの不活化処理が必要です。これらのことを入院もしくは外来で分かりやすく説明します。
テロメライシン療法の費用について教えてください。
テロメライシン局注は合計3回行いますので、薬価だけで930万円となります。これに入院費用や手技料が別途かかります。保険診療ですので、負担は個人それぞれの割合に応じ、原則1~3割となります。高額療養費制度は適用されますので、個人負担には上限があります。
最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。
もともと放射線単独照射の対象になっていた食道がん患者さんに対して、テロメライシンは画期的な製剤と考えています。当院ではこの治療をいち早く施行できるように整備をしました。問い合わせは、当院のがん相談支援センター(078)929-2967 (直通) にお願いいたします。
山本医師、ありがとうございました。
