血液内科の最新トピックス
血液内科 村山徹医師 インタビュー
今回のインタビューは血液内科の最近の状況について、血液内科 村山徹医師にお話を伺いました。
まず、血液内科についてお聞かせください。
血液内科は、白血病や悪性リンパ腫など造血器悪性腫瘍の治療施設として1987年に設立されました。積極的に治療を行い、治癒を目指せる症例を対象に、抗がん化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植などの治療法を用いて、造血器悪性腫瘍の治癒を目指しております。白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などの血液悪性腫瘍が対象疾患です。
血液内科での診療のトピックスについて教えてください。
最近新しく導入された二重特異性抗体による造血器腫瘍の治療について簡単にご説明いたします。
二重特異性抗体とは、1つの抗体分子が2種類の異なる抗原に結合できるよう設計されたもので、主に腫瘍細胞と免疫細胞を同時に標的とすることで、免疫系を活性化し腫瘍細胞を排除する機能を持ちます(図)。
図:二重特異性抗体の作用機序
二重特異性抗体の利点は、複雑な細胞操作を必要とせず、製剤として投与可能な点にあります。また、免疫系を利用するため、従来の化学療法や放射線療法とは異なる作用機序を持ち、薬剤耐性を示す腫瘍にも効果を示す可能性があります。さらに、標的抗原を変更することで、さまざまな血液腫瘍に応用可能です。
一方で、二重特異性抗体治療にはいくつかの課題も存在します。最も重要なのはサイトカイン放出症候群(CRS)であり、T細胞活性化に伴う過剰な炎症反応が全身症状を引き起こします。CRSは発熱、低血圧、呼吸困難などを伴い、重篤な場合には集中治療が必要となります。また、神経毒性(ICANS)も報告されており、意識障害や痙攣などの症状が出現することがあります。これらの副作用は、投与スケジュールの調整や前投薬(ステロイド、IL-6阻害薬など)によってある程度制御可能です。またチーム医療の整った施設で行うのが肝要です。
最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。
血液内科は正確な情報を提供しインフォームドコンセントを得た上で治療を進めることを基本方針としています。治療前には、診断名、治療法、予想される効果および副作用・合併症、他の治療法、予後などについて主治医が説明いたしますので、ご家族の方々とともによく聞いていただき、御理解をしていただいた上で、治療をご決定いただきますようお願いいたします。また、セカンドオピニオンとして他施設の専門医との意見交換も積極的に行っています。もし他院でのセカンドオピニオンの希望がありましたら御遠慮なくおっしゃっていただきますようお願いいたします。ただし電話等でのお問い合わせにはお答えできませんので、外来受診の方でしたら外来予約を、入院中の方でしたら病状説明の時間の予約を取っていただきますようお願いいたします。受診歴のない方につきましては主治医の先生からの紹介状・臨床データを持って受診してください。
村山医師、ありがとうございました。
