泌尿器科の最新トピックス
泌尿器科 倉橋俊史医師 インタビュー
今回のインタビューは泌尿器科の最近の状況について、泌尿器科 倉橋俊史医師にお話を伺いました。
まず、泌尿器科についてお聞かせください。
泌尿器科では、尿路(腎臓、腎盂・尿管、膀胱、尿道)および男性生殖器(前立腺、陰茎、精巣)の悪性腫瘍に対する治療を行っています。治療は手術および化学療法が中心になります。手術は体への負担の少ない腹腔鏡手術を中心とし、さらに近年では手術支援 ロボットを腹腔鏡手術に積極的に取り入れています。手術件数は例年400件を超えており、膀胱、前立腺、腎臓等の手術が多くを占めています。そのうち9割近くがロボット支援手術でした。薬物療法では従来の抗癌剤に加え、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤等の新しく開発された薬剤による治療が増加し、進行癌でも予後の改善がみられています。
泌尿器科での手術・薬物療法について教えてください。
まず手術についてですが、近年手術件数で最も多くを占めるのは前立腺癌に対する前立腺全摘術です。血液検査でPSA(前立腺特異抗原)を測定することで早期前立腺癌の発見が可能となり手術適応の症例が増加しました。当院では前立腺癌に対するロボット手術は、ロボット手術が保険適応となって以来、800例を超えています。従来の開腹手術に比較し、出血量の減少、早期離床、入院期間の短縮など多くのメリットがみられています。近年では前立腺癌のみならず、腎癌に対する腎部分切除や根治的腎摘術、膀胱癌に対する膀胱全摘および尿路偏向術、腎盂尿管癌に対する腎尿管全摘除術等、すべてにおいてロボット手術が保険適応となり、当科では約1200症例のロボット手術を安全に行っています。
次に薬物療法については、進行性の腎癌に対しては長らく有効な薬剤がありませんでしたが、2008年より分子標的薬による治療が開始され転移を有していても長期の生存がみられるようになりました。さらに、2016年より免疫チェックポイント阻害剤による治療が開始され、より優れた治療成績が示されました。免疫チェックポイント阻害剤の治療効果の最大の特徴は、一旦治療効果が得られれば長期の効果 持続がみられる点です。現在では進行腎癌の一次治療として免疫チェックポイント阻害剤が推奨されています。免疫チェックポイント阻害剤と分子標的薬の併用療法も用いられるようになり、腎癌薬物療法に大きな進歩がみられています。また、進行性膀胱癌や腎盂尿管癌などの尿路上皮癌は、従来の殺細胞性の抗癌化学療法では長期の生存が困難でしたが、初回治療として、免疫チェックポイント阻害剤と抗体薬物複合体(抗体に抗癌剤を結合させ、直接癌細胞に作用することを期待する薬剤)や分子標的薬との併用療法が使用可能になり、これまで長期の奏功が困難であった尿路上皮癌でも、寛解を目指した治療が可能になっています。この10年で泌尿器癌に対する治療は手術、薬物療法ともに画期的な進歩がみられました。手術では開腹手術から腹腔鏡手術、さらにロボット支援手術へと低侵襲化がすすみ、薬物治療では次々と新しい作用機序の薬剤が開発され進行癌でも長期の生存が期待されるようになっています。個々の病態に応じた適切な治療を選択し、治療成績の向上に努めていきたいと考えています。
最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。
当センターは医師5人で診療にあたっております。
当センターでは原則、悪性腫瘍に対する治療が対象です。排尿障害や良性疾患の治療は近隣の泌尿器科にお願いいたしております。スタッフは泌尿器がんに対し豊富な治療経験、技術を有しています。手術を中心に化学療法、放射線療法など集学的治療をおこなっています。医療技術の進歩にともなって新しい治療法もどんどん開発がすすんでいます。腹腔鏡手術やロボット手術など体に負担の少ない低侵襲で最先端の治療を積極的に取り入れています。
倉橋医師、ありがとうございました。
